第28回東京国際映画祭が10月31日（土）に閉幕し、ホベルト・ベリネール監督によるブラジル映画「ニーゼ」が東京グランプリと最優秀女優賞の2冠に輝いた。ベルリネール監督は｢時々、自分が特別なことをしていると感じる時があります。まさにこの作品を作っている時にそう感じました。精神科の患者と約5ヶ月一緒に過ごし、この体験が私の人生を変えました。それが映画の中にも全部表現されています。日本が大好きです！皆さんに感謝したいと思います。ありがとうございました！｣と喜びを表現した。

総評としてコンペティション部門の国際審査委員長を務めたブライアン・シンガー氏は｢私は自閉症の子供たちのバスドライバーをした経験があり、個人的にも『ニーゼ』がグランプリに決まったのは嬉しく、心を打つ映画でした。審議には長い時間かかり、素晴らしいフィルムメイカーたちが沢山いましたが、6つしか賞が与えられないことが残念。審査員の皆さんと素晴らしい10日間を過ごせたことも報告したいと思います｣と明かした。

今回、新設された“ARIGATO賞”の受賞者である、樹木希林（女優）、日野晃博（レベルファイブ社長）、広瀬すず（女優）、細田守（アニメーション監督）、リリー・フランキー（俳優）も登壇。樹木は｢昨日、高齢者免許取得のための事前講習会に3時間も行って、年をとるのは大変だと思ったんですが、皆様から『ありがとう』などと言ってもらえて、『いえいえ、こちらこそありがとうございます！』｣と挨拶し会場を沸かせた。広瀬も｢日本でこのような授賞式に参加するのは初めてで、少し恥ずかしい気持ちもありますが、支えて下さったたくさんの方にご恩と感謝の意を込めて、これからも頑張ります｣と初々しく挨拶した。

なお、今年の映画祭の劇場動員が6万3738人（上映本数207本）、TIFFCOM及び共催／提携企画動員が23万9561人、レッドカーペット・アリーナ等のイベント動員が約14万5872人となった。各賞受賞結果は以下のとおり。

《コンペティション》
▽東京グランプリ＝｢ニーゼ｣（ホベルト・ベリネール監督）
▽審査員特別賞＝｢スリー・オブ・アス｣（ケイロン監督）
▽最優秀監督賞＝ムスタファ・カラ監督（｢カランダールの雪｣）
▽最優秀女優賞＝グロリア・ピレス（｢ニーゼ｣）
▽最優秀男優賞＝ローラン・モラー／ルイス・ホフマン（｢地雷と少年兵｣）
▽最優秀芸術貢献賞＝｢家族の映画｣（オルモ・オメルズ監督）
▽観客賞＝｢神様の思し召し｣（エドアルド・ファルコーネ監督）
《アジアの未来》
▽作品賞＝｢孤島の葬列｣（ピムパカー・トーウィラ監督）
▽国際交流基金アジアセンター特別賞＝デグナー監督（｢告別｣）
《日本映画スプラッシュ》
▽作品賞＝｢ケンとカズ｣（小路紘史監督）
《WOWOW賞》
▽｢カランダールの雪｣（ムスタファ・カラ監督）
《“SAMURAI（サムライ）”賞》
▽山田洋次監督
▽ジョン・ウー監督
《ARIGATO賞》
▽樹木希林
▽日野晃博
▽広瀬すず
▽細田守
▽リリー・フランキー