第31回東京国際映画祭が閉幕、フランスのミカエル・アース監督作「アマンダ」が東京グランプリと最優秀脚本賞を受賞!(2018.11.05)
第31回東京国際映画祭が11月3日(土)に閉幕し、前日に行われた表彰式では、テロで姉を失った青年が姪の世話をしながら再生していく姿をミカエル・アース監督が描いたフランス映画「アマンダ(原題)」が東京グランプリと最優秀脚本賞の2冠に輝いた。ミカエル・アース監督は既に帰国していたが、ビデオメッセージで「受賞には慣れていませんが、2つも賞をいただき大きな幸せです。世界の反対側であっても、映画は人々を感動させることができることが分かり、これ以上の褒美はありません」と喜びのコメントを寄せた。
はじめに東京ジェムストーン賞の表彰が行われ、宝石のような輝きを放つ若手俳優として、映画祭上映全作品の中から木竜麻生、リエン・ビン・ファット、カレル・トレンブレイ、村上虹郎が発表された。芥川賞作家・中村文則原作の「銃」で、一丁の拳銃を偶然拾ったことから、銃に取りつかれていく青年を演じた村上は「こんなにもキラキラして重みのある賞をいただけて、ジェムストーン賞に負けない、キラキラとした重みを自分に課していきたいです」と挨拶し、3年前に深田晃司監督の「さようなら」で同映画祭に参加したことを振り返りながら「その時、今回の奥山和由プロデューサーと出会ったんですが、タメ口で挨拶されたと未だに言われるんです(笑)。そんなことなかったはずですけどね。また映画祭に戻って来られて嬉しい」と飄々と明かした。
続いて各部門の発表が行われ、日本映画スプラッシュ部門では監督賞が新設され、「銃」の武正晴監督と、「メランコリック」の田中征爾監督の2名が同時受賞した。武監督は「3年前、『百円の恋』の時に奥山プロデューサーと会い、こういう作品を作って映画祭に戻って来られるとは思わず、感激しています」と明かし、田中監督は「この作品が出来上がったのが応募締切の朝で、記念投稿のようなつもりだったのですが、ここまで来ることができて嬉しいです」と初々しくコメント。また、「鈴木家の嘘」で作品賞を受賞した野尻克己監督は「インディー作品として魂を揺さぶる映画にしたいと思っていました。周りの人たちが僕を監督にして下さったので、キャストやスタッフの賞だと思っています。認めて下さった審査員の皆さんに感謝します」と喜びを明かした。
また、コンペティション部門の各賞が発表され、国際審査委員長を務めたブリランテ・メンドーサ氏は「審査員の4人の皆さんと素晴らしい時を過ごすことができました。参加した全てのフィルムメイカーに感謝し、受賞者にはおめでとうと伝えたい。多様な作品の中から賞を選ぶのは挑戦でもありました。映画の舞台裏では多くの人々が支えてくれており、その素晴らしい働きに改めて感謝したい」と述べ、久松猛朗フェスティバル・ディレクターは「毎日会場を回る中で“観客の映画を観る喜び”をしっかりと感じ取ることができました。上映後のQ&Aやパーティでは製作者とファンの交流が広がり、これは映画祭にとって最も大きな成果だったと思います。より魅力的な映画祭をめざし、この場でまた皆様とお会いできることを楽しみにしています」と締めくくった。
なお、映画祭の動員数は、劇場動員数が6万2125人(上映作品数181本)、JCS/レッドカーペット・アリーナ等のイベント動員数が15万5246人、共催/提携企画動員数が16万4000人となった。受賞作及び受賞者は次のとおり。
《コンペティション》
▽東京グランプリ/東京都知事賞=「アマンダ(原題)」(ミカエル・アース監督)
▽審査員特別賞=「氷の季節」(マイケル・ノアー監督)
▽最優秀監督賞=エドアルド・デ・アンジェリス監督(「堕ちた希望」)
▽最優秀女優賞=ピーナ・トゥルコ(「堕ちた希望」)
▽最優秀男優賞=イェスパー・クリステンセン(「氷の季節」)
▽最優秀芸術貢献賞=「ホワイト・クロウ」(レイフ・ファインズ監督)
▽最優秀脚本賞 Presented by WOWOW=「アマンダ(原題)」(ミカエル・アース監督)
▽観客賞=「半世界」(阪本順治監督)
《アジアの未来》
▽作品賞=「はじめての別れ」(リナ・ワン監督)
▽国際交流基金アジアセンター特別賞=ホアン・ホアン監督(「武術の孤児」)
《日本映画スプラッシュ》
▽作品賞=「鈴木家の嘘」(野尻克己監督)
▽監督賞=武正晴監督(「銃」)、田中征爾監督(「メランコリック」)
《東京ジェムストーン賞》
▽木竜麻生(「鈴木家の嘘」「菊とギロチン」)
▽リエン・ビン・ファット(「ソン・ランの響き」)
▽カレル・トレンブレイ(「蛍はいなくなった」)
▽村上虹郎(「銃」)
((c)2018 TIFF)
公開情報 | 公式サイト:https://2018.tiff-jp.net/ja/ |
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