第35回東京国際映画祭が閉幕、スペインのロドリゴ・ソロゴイェン監督作「ザ・ビースト」が東京グランプリなど3冠受賞!(2022.11.03)
10月24日から開催されていた「第35回東京国際映画祭」が11月2日(水)に閉幕し、スペインの寒村に移住してきたフランス人の中年夫婦が直面する地元有力者一家との軋轢を描いたスリラー「ザ・ビースト」が東京グランプリ/東京都知事賞、監督賞、主演男優賞の3冠に輝いた。
授賞式では初めに長年の映画界への貢献を称え、黒澤明映画で記録・編集・制作助手として参加してきた野上照代氏に特別功労賞が贈られ、野上氏は「ありがとうございます。私は映画が本当に好きだし、映画という表現をここまで続けてきてくれた監督たちに感謝します。映画ほどリアルで真実に迫るものはないし、素晴らしい表現だと思います。今年は素晴らしい会になって良かったですね。ありがとうございました」とスピーチした。
その後、各賞の発表が行われ、「ザ・ビースト」で主演男優賞を獲得したドゥニ・メノーシェは、「東京国際映画祭は大好きな映画祭です。世界中が日本的だったら、もっと住みやすくなるに違いありません。受賞は大変喜ばしいですが、今はモントリオールにいます。いつか日本で映画を作りたいです」とビデオメッセージを寄せ、ロドリゴ・ソロゴイェン監督からも、「心より光栄に思います。東京国際映画祭と審査員の皆様ありがとうございます。『ザ・ビースト』や映画祭、素晴らしい東京という街を楽しんで下さい。本当に嬉しいです」とメッセージが寄せられた。
コンペティション部門の国際審査委員長を務めたジュリー・テイモア氏は「世界中から集まった幅広い作品について議論する機会をいただき感謝しています。我々は北マケドニアから日本に至るまでのストーリーの中を旅してきました。私たちの住む世界と異なる文化の暗い側面、明るい側面を見ることが、まさに映画祭の素晴らしい真意だと思います。そしてコロナの中、資金集めが困難な中、想像力を駆使して新たな作品を製作されていることも素晴らしいと思います」と語った。
最後に安藤裕康チェアマンは「今年は天候にも恵まれ、劇場や上映作品数を増やし、観客数も昨年の倍以上となり、イベントも様々な場所で行って、映画祭としての華やかさを増すことができました。日本は経済力の低下など自信をなくしていますが、芸術文化は世界で勝負できます。今後も映画を通じて世界との懸け橋になり、更に飛躍していきたいと思っております」と述べ、映画祭は閉幕した。
なお、映画祭の動員数(速報値)は、上映動員数が5万9414人(上映作品数169本)、その他リアルイベント動員数が5万0842人、海外ゲストが104人、共催/提携企画動員数が約2万人。上映作品における女性監督の比率(男女共同監督作品含む)が14・8%(25本)となった。受賞作及び受賞者は次のとおり。
《コンペティション》
▽東京グランプリ/東京都知事賞=「ザ・ビースト」(ロドリゴ・ソロゴイェン監督)
▽審査員特別賞=「第三次世界大戦」(ホウマン・セイエディ監督)
▽最優秀監督賞=ロドリゴ・ソロゴイェン(「ザ・ビースト」)
▽最優秀女優賞=アリン・クーペンヘイム(「1976」)
▽最優秀男優賞=ドゥニ・メノーシェ(「ザ・ビースト」)
▽最優秀芸術貢献賞=「孔雀の嘆き」(サンジーワ・プシュパクマーラ監督)
▽観客賞=「窓辺にて」(今泉力哉監督)
《アジアの未来》
▽作品賞=「蝶の命は一日限り」(モハッマドレザ・ワタンデュースト監督)。
《Amazon Prime Video テイクワン賞》
▽テイクワン賞=該当者なし
《特別功労賞》
▽野上照代(スクリプター)
《黒澤明賞》
▽アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ(監督)
▽深田晃司(監督)
((c)2022 TIFF)
公開情報 | 公式サイト:https://2022.tiff-jp.net/ja/ |
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