第37回東京国際映画祭が閉幕、吉田大八監督作「敵」が東京グランプリなど3冠を獲得!(2024.11.07)
「第37回東京国際映画祭」が11月6日に閉幕し、「敵がやって来る」という不穏なメッセージを受け取った元大学教授の姿を吉田大八監督が描いた「敵」が東京グランプリ/東京都知事賞をはじめ、最優秀監督賞、最優秀男優賞(長塚京三)の3冠に輝いた。
クロージングセレモニーが行われたTOHOシネマズ日比谷では、はじめに10日間を振り返る映像が流れ、黒澤明賞は三宅唱監督とフー・ティエンユー監督、特別功労賞はタル・ベーラ監督に授与されたことを紹介し、コンペティション部門をはじめ各賞を発表。3冠を獲得した「敵」の吉田監督は「私自身も映画祭で多くの映画を観させてもらいました。味方は意外と多い事に気づけて良かったです。これからも映画を宜しくお願いします」とし、長塚は「ちょっとびっくりしています。ぼちぼち引退かと思っていましたが、もう少しこの世界で頑張ってみようと思います」と述べた。日本映画が東京グランプリに輝くのは「第18回」の根岸吉太郎監督作「雪に願うこと」以来19年ぶりとなり、主演の長塚は最優秀男優賞受賞者の最高齢(79歳)となった。
コンペティション部門の審査委員長を務めたトニー・レオン氏は「当初は良い映画に出会えなかったらどうしよう?逆に素晴らしい映画ばかりだったらどうしよう?とハラハラしていましたが、審査委員全員一致でこの素晴らしい作品を見つけることができました。受賞者の皆さんに心からおめでとうと伝えたい」と述べた。また、クロージング作品「マルチェロ・ミオ」から主演のキアラ・マストロヤンニが登壇し、審査委員としての10日間も振り返りつつ、同作については「奇妙な映画で一つの賭けでもありましたが、大切な人を亡くしたことがある方には共感していただける映画だと思います。シリアスな作品ではなく、ハッピーな作品として楽しんでいただけたら」とアピールした。最後に安藤裕康チェアマンが閉幕宣言を行い、映画祭は終了した。
なお、映画祭の動員数(速報値)は、上映動員数が6万1576人(前年比82・3%)、その他リアルイベント動員数が9万6866人、共済提携企画動員数が約4万4700人。上映作品本数は208本(前年比95・0%)、上映作品における女性監督の比率は21・9%、ゲスト登壇イベント本数は178件(前年比105・3%)、海外ゲスト数は2561人(前年比128・1%)となった。受賞作及び受賞者は次のとおり。
《コンペティション》
▽東京グランプリ/東京都知事賞=「敵」(吉田大八監督)
▽審査員特別賞=「アディオス・アミーゴ」(イバン・D・ガオナ監督)
▽最優秀監督賞=吉田大八(「敵」)
▽最優秀女優賞=アナマリア・ヴァルトロメイ(「トラフィック」)
▽最優秀男優賞=長塚京三(「敵」)
▽最優秀芸術貢献賞=「わが友アンドレ」(ドン・ズージェン監督)
▽観客賞=「小さな私」(ヤン・リーナー監督)
《アジアの未来》
▽作品賞=「昼のアポロン、夜のアテネ」(エミネ・ユルドゥルム監督)
《エシカル・フィルム賞》
▽「ダホメ」(マティ・ディオップ監督)
《黒澤明賞》
▽三宅唱(監督)
フー・ティエンユー(監督)
《特別功労賞》
▽タル・ベーラ(監督)
((c)2024 TIFF)
公開情報 | 公式サイト:https://2024.tiff-jp.net/ja/ |
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