走る「切腹」を目指す!本格的時代劇「蠢動-しゅんどう-」製作発表会見(2013.01.15)
関西の自主映画界の雄、三上康雄監督が33年ぶりに挑む時代劇映画「蠢動-しゅんどう-」の製作発表会見が1月15日(火)に行われた。「自分の観たい時代劇映画はない。だから、自分の観たい時代劇映画を、自分で創る」という信念から、三上監督が1982年に製作・監督した自主映画初の16mm時代劇「蠢動」を新たに描き出すもので、脇崎智史と平岳大がW主演し、1月17日にクランクイン。全篇オールロケを敢行し、三重の伊賀、京都の美山、滋賀の比叡山などでの撮影を経て、ラストの殺陣のシーンは雪の鳥取砂丘で行われる予定となっている。
享保年間。数年前に飢饉があったものの何とか乗り越えた山陰のとある藩へ、幕府から使者が来たために動揺と疑心暗鬼と確執が巻き起こる。存続を貫こうとする城代家老、藩の命令を貫こうとする剣術師範、藩士への想いを貫こうとする藩士の妹。それぞれの正義と正義の激突が始動する。
三上監督は「昭和の時代劇のようなオーソドックスな時代劇好きなのですが、最近は出くわすことがなく、殺陣のシーンもどこまでが本物で、どこまでが作り物なのか分からない。本作では延々と斬り合いが続く長回しによって、本物の殺陣を見せたいと思っています。前半は藩の内情を描くサスペンス、後半は走る活劇として、時代劇ファンに喜んでいただける作品を作りたい。どんな作品かと聞かれた時には、橋本忍脚本、小林正樹監督の『切腹』が好きなので、“走る『切腹』”ですと説明しています」と意気込みを語った。
主演の脇崎智史は「雪の中のシーンが多いので体力的にも過酷なものになると思いますが、スタッフ、キャスト、一丸となって素敵な作品になるよう頑張ります。昨日は雪が降り、まさに『蠢動』の光景で、外を走り周ってみたのですが、寒いし、滑るし、(撮影は)どうなるんだろうと不安もわいてきました。でもキレイさより気持ちだけでやる喧嘩のようなドロドロの殺陣ができたらと思っています」と語り、もう1人の主演を務める平岳大は「雪の中での立ち回りは、大雪が降ってくれることを願っています。歌舞伎の『三人吉三』も雪の中での立ち回りがあって、その美しさに号泣して、何度も観に行っているほどなので、僕は美しい戦いになればと思っています」と役柄同様、対照的な2人のコメントとなった。
また、共演の若林豪は「最近は別の角度から撮るような時代劇が多いので、ど真ん中を狙った凄い脚本だなと思い、ぜひやらせていただきたいと思った」と語り、目黒祐樹は「台本を開いて最初に目に飛び込んだのが監督の製作意図で、この作品にかける情熱がひしひしと伝わってきました。その情熱をエネルギーに変えた素晴らしい作品になる予感が、台本を読み重ねるにつれ、確信に変わってきています」と自信をのぞかせた。
そして、紅一点となったさとう珠緒は「最後は悲しさもあるけれど、感動しました。殺陣の練習風景も見学させてもらい、その迫力とカッコ良さに圧倒されてしまい、この現場に居させていただけて幸せだなと実感しています」と笑顔で語った。
本作は、2月5日にクランクアップ予定で、海外の映画祭への出品も予定しており、10月ごろの公開を目指して製作が進められる。
公開情報 | 太秦配給「蠢動-しゅんどう-」2013年公開 公式サイト:http://www.y-mikami.jp/ |
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