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アカデミー賞11部門ノミネート!「ライフ・オブ・パイ/トラと漂流した227日」のアン・リー監督来日会見(2013.01.17)

ヤン・マーテル原作の世界的ベストセラー小説「パイの物語」を「ブロークバック・マウンテン」でアカデミー賞監督賞に輝いたアン・リー監督が3D映画化した「ライフ・オブ・パイ/トラと漂流した227日」の来日記者会見が1月17日(木)に行われた。本作は、先日、発表されたアカデミー賞のノミネーションで作品賞をはじめ11部門の候補になったばかり。来日したアン・リー監督は「今回の作品は1番難しい作品だった。日本に来られるのは、いつもとても嬉しい」と挨拶した。

インドで動物園を経営していた一家が、カナダに移住しようと動物たちと共に貨物船で海を渡るが、嵐に襲われ、船は沈没。生き残ったのは16歳の少年パイと、リチャード・パーカーと名付けられたベンガルトラのみ。パイとトラの227日間に及ぶ太平洋上の漂流生活が始まる。

アカデミー賞でのノミネーションを受けてリー監督は「世界で最も大きな賞で、同業者によってノミネートされるので、同業者に認められたという満足感がある。もうひとつ、世界中の目が見ている場で発言でき、一緒に仕事をした人たちにお礼を述べられ、感謝できることが名誉だと思う。また、受賞すると一生の肩書きになるし、ニューヨーク・メッツの始球式に出た時、3万人の大観衆の前で『アカデミー賞を獲得したアン・リー監督』とアナウンスされたよ。でも、始球式は完璧なストライクボールを投げてしまい、プレッシャーに負けてしまったのかもしれない」と苦笑い。

そして「今回は完成に4年かかり、完成しただけで満足。関わった多くの皆にとって特別なプロジェクトだったと思う。幸福感を感じながら作り上げた充足感でいっぱい。だから、賞はボーナスみたいなもの。製作中、多くの友人ができ、人と繋がることができた。わたしはパイのように孤立していないので、ラッキーだと思う。11ものノミネートも大変名誉だが、インド人の2人の俳優がノミネートされなくて残念。私の中では13のノミネートだと思っている」と胸の内を明かした。

その2人の俳優の1人で、16歳のパイを演じたスラージ・シャルマは、映画初出演で演技経験はないという。「16歳のインド人のスターはいないので、新人を見つけるしかなく、インドの高校に行って3000人位オーディションをしたんだ。最後に12人に絞り、初めてスラージに会って“パイ”だと思った。彼は魂に溢れる深い目をしていた。プロの監督としてカメラに愛される人物だと思ったんだ。ただ、彼はデリーで育ち、泳げなかったので特訓をした。演技の指導もしたがとても自然体で、撮影開始1週間で小さなブッダのように、悟りを開いたように自然に出来るようになっていた」と絶賛。「撮影中、どんどん演技が上達し、海での撮影は順撮りしていったが、段々と海に慣れていき、体重が落ち・・・、最後には自分の中の狂気と闘う。正気を保つという演技では、わざと孤立させ、誰とも話させなかった。彼の表情が変わり、スピリチュアルな感じが出たと思う。映画を作る初心に帰らせてもらい、色々と学ばせてもらった」と感謝の気持ちを述べた。

パイのキャラクターに関しては「この作品は1人の少年の話だが、自分に忠実に、いかに生きるかがテーマ。内面的な物が描かれているのが気に入った。彼は海洋上にいて、人との関わりが無くなり、社会性も無くなってしまった。宗教心を持たないが、抽象的な意味で神と対面することになる。神をどう捉えるか、全てを管理するものと受け取るか、自分の中に存在するものとして捉えるか。パイを全ての人物を象徴するようなキャラクターにしようと思った。動物園は“楽園”のようなもので、家族を亡くし、いろいろな試練を受けながら、大人になっていく。どのように観客を感動させるか、感情移入させられるかが大変だった。そこは俳優に頼ったので、俳優の力が大きい。あるシンボルを作品に込めているが、観客に見つけてもらいたい」と語った。
最後に「本作は英語だが、アジアの映画と私は見ているし、アジアで成功もしている。今はアジアにとって良い時期。アジアの表現を使って世界中に影響を与えられる時代に入っている。これからも良いプロジェクトをやりたい」と締めくくった。

公開情報 20世紀FOX配給「ライフ・オブ・パイ/トラと漂流した227日」は2013年1月25日(金)TOHOシネマズ日劇他全国公開
公式サイト:http://www.foxmovies.jp/lifeofpi/

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