「クラウド アトラス」来日記者会見にラナ&アンディ・ウォシャウスキー姉弟監督とトム・ティクヴァ監督が登壇!(2013.01.24)
“6つの時代と場所で、6つの人生を生きる男”映像化不可能と言われたデイヴィッド・ミッチェル原作の同名ベストセラー小説を「マトリックス」シリーズのウォシャウスキー姉弟と「ラン・ローラ・ラン」のトム・ティクヴァが監督した「クラウド アトラス」の来日記者会見が1月24日(木)に行われた。来日した監督陣は「こんにちは」とにこやかに日本語で挨拶し、「日本に戻って来られて嬉しい」と語り、特にラナは「心はいつも東京と共にある、大好きな街。精神的な故郷と思っている」と挨拶した。
19世紀から24世紀を舞台に、過去・現在・未来にまたがる500年の間の6つのエピソードが、主人公の男を軸として、波乱に満ちた航海物語、幻の名曲誕生秘話、原子力発電所の陰謀、人殺しの人気作家、伝説となるクローン少女の革命家、崩壊した地球での戦いが交差していく。国や人種、性別の境界線を超えた人間の本質を表現するために、同じ魂を持つ複数の人物を一人で演じるという、大胆かつ画期的なキャスティングがされ、トム・ハンクス、ハル・ベリー、スーザン・サランドン、ヒュー・グラントらが挑んでいる。
映像化不可能と言われた小説を基にしたということについて、アンディは「よく聞かれる質問だけど、映像化が不可能な小説など無い」とし、トムは「かえって、そういうところが魅力に感じてやってみたいという意欲に駆られた」、ラナは「不可能だからこそ、撮りたいと思った」とチャレンジャーな3人。今までにない役に挑戦した主演のトム・ハンクスについても「興奮していたし、我々が見たこともない役に挑戦するのを楽しんでいた。ひとつの役から次の役へと変わらなければならなかったが、見事に前の役の経験を次に繋げていた。次のキャラクターに移行していく興味深い作業では、素晴らしい瞬間がたくさんあった。特にトムの表情を見ていると、過去の自分から次のストーリーの自分を一瞬で表現している。作る側としても素晴らしいと思った。彼とは興味、共感をたくさん分かち合え、強い絆を感じたよ」とトムは絶賛。
作品のテーマについては、「大きなキャンバスです。哲学的にも美的にも壮大なキャンバスを原作者は描いている。私たちは好きな映画、好きなものをストーリーに入れていこうとアプローチしました。原作には東洋・西洋を問わず、混ぜ合わさった超越した哲学が描かれていて、魅かれたのはその中に自分たちの信念、人間にとって必要なもの、思い入れ、私たちが進化を遂げる要素があったこと」とラナは語った。また、アンディは「撮り終わってみると、予想外の結果になった。作ってみると私の人生そのものが反映されていることに気付いたし、自分に対しての教訓が含まれていた。面白いのはトム・ハンクスとのミーティング中、テーブルの上に『白鯨』の本があり、『白鯨』は原作にも含まれていて、いろんなところで不思議に繋がっていたことだ。批判もあったが我々も劇中のソンミのように頭に釘をさされても、この作品を世の中に出したいと思った。最終的に特別な作品が出来上がったという想いだ」と強く語った。
最後に「この作品の楽しみ方は?」との質問には、「どんな芸術作品でも見る前に先入観を持って入っていくのはよくないと思う。白紙状態で見てもらうのが一番」とアンディ。続いてラナは「そう答えようと思っていたのに取られてしまったので、付け加えると、我々は慣れ親しんだ映画の見方、ストーリーはこうあるべきという、そんな慣例が嫌いなので、新しい映画の見方、新しいアプローチをしようと常に心がけています。アグレッシブなストーリーやナレーション、俳優がいろんな役を演じていることなど、普通の映画と違うからといって拒否反応を示さないで欲しい。非常にエモーショナルな部分やスリル、興奮、刺激など全てがあると思うので、慣例に捕われないで欲しい」と懇願。トムは「ひとりひとりが一つのものを作り上げ、多くの人の努力があって一つの作品になっている。映画とは通常そういうものだが、この作品は更にその上をいっている。皆さんにとって親しみのあるような、どこかでこんなことがあったなと感じられる作品。是非、TVやダウンロードではなく、劇場に足を運んで、同じ場所に集う人と分かち合う親近感を感じて欲しい。オーケストラを聴きに行ったと想像してみて、トム・ハンクスがバイオリン、ハル・ベリーがチェロ、ヒュー・グラントがトランペットと、オーケストラの一員として全体を奏でていると思ってほしい。また、鑑賞後にいろんなことを考えさせてくれる作品になっていると思う」と語り、「短くてもOKと言われたが、映画も長いし、短くまとめるのは苦手なんだ」と本作への熱い思いを語った。
公開情報 | ワーナー・ブラザース配給「クラウド・アトラス」は2013年3月15日(金)から新宿ピカデリー、丸の内ピカデリー他全国公開 公式サイト:http://wwws.warnerbros.co.jp/cloudatlas/ |
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