貧しさにも勝る、子供たちの溢れ出る生命力!「三姉妹~雲南の子」来日会見(2013.04.09)
5月25日より公開される「三姉妹~雲南の子」の来日記者会見が4月9日(火)に行われ、ワン・ビン監督が登壇した。日本で上映されることについて「日本の皆さんに見ていただける機会を嬉しく思い、幸運に感じています」と喜びを語り、「貧しさの中で懸命に生きる三姉妹の姿を通して、生命力の素晴らしさと共に中国が抱える現実を感じてほしいと思います」と、中国での公開が難しい本作への思いを語った。
本作は、中国で最も貧しいと言われる、雲南地方の標高3200メートルの村に暮らす幼い三人の姉妹に密着したドキュメンタリー。母は家を去り、父は出稼ぎに出ているという両親不在の中、農作業と家畜の世話をし、自分たちの力だけで生活している三姉妹のどんな環境でも輝く生のエネルギーを映し出すと共に、経済的繁栄に沸く中国で大きな格差が存在している事実を描いている。また本作は、2012年ベネチア国際映画祭オリゾンティ部門グランプリ他、多数の国際賞を受賞している。
監督は4年前に泥まみれで遊んでいたこの三姉妹に出会い、ほとんど人を見かけなかった村の中で際立った存在に見えたと言う。「両親が不在の中、長女は母親のように妹達の面倒を見ており、私達にもじゃがいもを煮てもてなしてくれた」と出会った頃の印象を語り、「貧しさの中にも、三人で寄り添う強さが心を打った」と溢れる生命力を目の当たりにし、強烈にこの三姉妹を撮りたいという欲望が湧いたことを明かした。
撮影はわずか20日という短期間であったが「子供たちにカメラを意識させないために、距離を保ち客観的に撮ることを心がけました。信頼関係が築けると、カメラを気にすることなく自然に生活をしてくれました」と子供たちを撮る際に重要であった事を語った。「カメラを見たりスタッフに話しかけたりすることもあったが、それも子供たちの生活の一部と捉え本編でも使っています」と素朴な子供たちの一面も明かした。また、元気な子供たちを追いかけることに必死で高山病にかかり体調を崩したこともあり「完全に私の不注意でした」と標高3200メートルという高地での撮影の苦労を語った。
また、「これから先ドキュメンタリーを撮影したい対象はありますか?」という質問に「私自身あまり理解していない長江一帯に興味があります。三姉妹が住んでいる場所も長江の上流域であり、中国経済の急速な発展を担う長江のデルタ地域の変化を、ドキュメンタリーを通して理解していきたいと思っています」と今後の抱負を語った。
公開情報 | ムヴィオラ配給「三姉妹~雲南の子」は2013年5月25日(土)からシアター・イメージフォーラム他全国順次公開 公式サイト:http://moviola.jp/sanshimai/ |
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