日本とインドネシアの映画人が手を組んだ“劇毒エンタテインメント”「KILLERS／キラーズ」のサンダンス映画祭正式出品＆緊急公開決定を受け、来日記者会見が12月20日（金）に行われ、監督を務めた“モー・ブラザーズ”ことティモ・ジャヤント＆キモ・スタンボエルをはじめ、出演の北村一輝、高梨臨が登壇。世界初解禁となる衝撃のフッテージ映像も上映され、会見の模様はUstreamで配信されただけでなく、インドネシア語の同時通訳付きでインドネシアにもライブ配信された。

東京とジャカルタを舞台に、殺しに魅せられた男たちの魂が海を超えて呼応し、血まみれのゲームが幕を開ける。製作総指揮は、壮絶なアクションで世界を興奮させた｢ザ・レイド｣の監督ギャレス・エヴァンス。監督はギャレスが最も信頼を寄せ、凄惨なスプラッター描写と切れ味鋭いバイオレンスに満ちた｢マカブル 永遠の血族｣で鮮烈なデビューを飾ったモー・ブラザーズ。日本からは｢冷たい熱帯魚｣｢凶悪｣のプロデューサー陣が参加し、さらに｢ザ・レイド｣の製作チームも加わって、日本とインドネシア初の合作映画が完成した。

「日本での撮影はこれまでで一番の経験だった」と語るティモ・ジャヤント監督は「ご覧いただいたとおり、とても暴力的な映画ですが、人にとってバイオレンスとは何なのか？どんな影響を与えるのか？を考えて欲しい。一輝さんが演じるキャラクターは、人を殺すことを謳歌し、モンスターを超越した神的な存在ですが、一方でインドネシア人の男は暴力が満ち溢れた世界で、良い人間として生きようとしているのに、暴力のスパイラルから逃げられずにいる」と2人の主人公を分析。

日本のホラー映画「リング」から多大な影響を受けたというキモ・スタンボエル監督は「日本との合作は初めての体験で、大変な作業ではありましたが、撮影前に演出を2人で詰めてから入ったので問題ありませんでした。素晴らしい日本のパートナーのおかげで、映画に命を吹き込むことができました」と明かし、主演の北村についても「すごい才能の役者さんで、我々が思い描いているものを演じることができる人。とても感謝しています」と賞賛した。

サディスティックな残忍さと独自の美意識を貫くサイコキラー・野村を演じた北村は役柄について「全く共感できなくて、これは何なんだ！？と思った」としながらも、「監督からは、何か考えがあって殺しているのではなく、目の前に人がいるから2人きりになったら殺すという人間だと言われました」と振り返り、暴力にまみれたストーリーの中で重要な役割を果たすヒロイン・久恵を演じた高梨は「普通の女性なんですが、弟のことや過去の悩みを引きずりながらも強さを持った女性でした。監督が2人いるということで、どんな感じになるんだろう？と思っていましたが、混乱することなく、やりやすい現場でした」と明かした。

サイコキラー・野村が殺戮映像を動画サイトにUPするシーンについて北村は「全く理解できない。人間としてあるまじき行為でしょ！」と苦笑いしつつも「理解できて、感情移入できる役だけ演じるのが役者ではないので。でもこういう人はダメでしょ？救いようが無いなと思ってやってました（笑）」と語り、高梨も「ダメですよね。私自身はバイオレンス映画は好きで、それも不思議ではあるんですけど、現実でやっちゃダメだな」と2人共もちろん大反対。

また、北村は2人の監督について「ティモが子供で、キモが大人。出来上がりを見て、音のセンスやカメラワークを含めてビックリしました。発想がちょっとクレイジーで、他の作品も見せてもらったんですが、とんでもなくて！」とすっかりインドネシア映画の魅力にはまった様子。ギャレス・エヴァンス監督の「ザ・レイド2」にもヤクザ役で出演しているということだが「とにかく出してくれ！とお願いして、言い方は悪いけど『KILLERS』の番宣みたいになればと思った（笑）。カメラアングルとかも見たことがなくて、すごく楽しい現場でした」と2作品をしっかりとアピールした。