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宮崎駿&高畑勲監督もジブリのエース米林監督に太鼓判!「思い出のマーニー」完成披露会見(2014.07.02)

「借りぐらしのアリエッティ」の米林宏昌監督によるスタジオジブリ最新作「思い出のマーニー」の完成披露会見が7月2日(水)に行われ、米林監督をはじめ、ジブリ史上初となるWヒロインを務めた高月彩良、有村架純らが登壇した。はじめにジブリの西村義明プロデューサーは「映画の頭から最後まで高畑勲、宮崎駿の名前の無い初めての作品です。期待と不安もあったかと思いますが、41歳の米林監督による大変力強い作品が出来ました。自信の持てる作品が完成し、ヒットさせるべく頑張っていきますので、よろしくお願いします」と挨拶した。

イギリスの同名児童文学を基に、心を閉ざした少女・杏奈と、湿っ地屋敷に閉じ込められた金髪の少女・マーニーの出会いと、ひと夏の不思議な出来事を描き出している。2年前にジブリの鈴木敏夫プロデューサーから「これを映画にしてみないか」と原作本を渡されたという米林監督は「『アリエッティ』の時は宮崎さんが脚本を書いて、シナリオボードも作ってのスタートで、出来上がった時は達成感でいっぱいだったんですが、時間が経つうちに反省するようになって。『マーニー』の原作は面白くて感動したんですが、会話がメインでアニメにするには難しいと思い、一度お断りしました。でも、杏奈が絵を描く少女という設定にすれば、彼女の心の中も描けると思い、良い作品になると決意しました」と2作目にチャレンジした経緯を明かした。

300人にも及ぶWヒロインのオーディションから杏奈役に選ばれた高月彩良は「小さい頃から大好きだったジブリの作品で声優ができ、誇りに思っています。不器用に生きる杏奈はマーニーと出会い、彼女を取り巻く沢山の人たちの愛に支えられていることに気付いて新たな一歩を踏み出しますが、私もジブリのスタッフの皆さんに支えられました」と挨拶。一方、マーニー役の有村架純は「オーディションから2ヶ月後に決まったと報告を受け、マネージャーに『嘘ですよね!?』と何度も確認してしまいました(笑)。自分が感じたままのマーニーを披露して、採用していただけたことで、自信を持って挑戦できました。私の宝物になる作品となりました」と笑顔で語った。

杏奈の養母・頼子を演じた松嶋菜々子は「私も母親なので、娘を想う気持ちを素直にリアルタイムで演じることが出来ました。3時間で終わってしまって、もうちょっとやりたかった」と名残り惜しさをにじませ、杏奈を夏の間世話する大岩夫婦を演じた寺島進は「ジブリのオファーが来るとは思わず、驚いてます。初めて娘孝行できたんじゃないかな」と言って笑い、根岸季衣も夫役の寺島を見ながら「私たちが実写で夫婦をやったら犯罪を犯してそう(笑)。おおらかで温かい夫婦が演じられました。もう遊んでくれなくなった長男と次男も、ジブリの作品だからと(この後の試写会)も観に来てくれます」と嬉しそう。また、杏奈と交流する絵を描く女性・久子を演じた黒木瞳は「杏奈が『私は私のことが嫌い』という衝撃的なセリフから始まりますが、私もそういう時期がありました。子供に大きな愛を与え、寄り添ってあげることが大切だと改めて感じました」と感慨深げ。

また、ジブリ初の全編英語詞の主題歌「Fine On The Outside」を手掛けるプリシラ・アーンは「10年ほど前に『ハウルの動く城』を観て以来ジブリの作品に恋しました。まさか自分が主題歌を歌うとは思っていなかったので、夢以上の夢が叶いました。大人も子供も共感できる素晴らしい映画だと思います」と興奮気味に話し、ミュージシャンであり本作では物語の鍵を握る老婦人を演じた森山良子は「エンディングでプリシラさんの曲が流れてきて、あまりにも良くて、本当はしてはいけないんですが、録音してしまいました(笑)。それくらいステキな曲。皆さんはなさらないで!」と思わず音楽家としての血が騒いだ様子。

高畑、宮崎という偉大なジブリの監督たちが関わっていない作品ということについて改めて西村プロデューサーは「2人のなきあと・・・、いえ、生きています!」と慌てて失言を訂正し、「4月の会見で僕が話したことが達成できたと思っています。『風立ちぬ』や『かぐや姫の物語』は、おじいちゃんだからこそ作れた映画で、今回は親の世代である麻呂さん(米林監督)だからこそ作れた映画だと思っています」とコメント。米林監督も「前作は宮崎さんの目ばかり意識してしまって、反省していますが、今回は純粋にお客さんのために作りました。宮崎さんがどう思っているかはわかりませんが・・・」と明かした。

すると西村プロデューサーは「実はすごく褒めてくれました。宮崎さんは二言だけ『本当に麻呂は頑張った。麻呂が1+1=5の男であることがわかった』と言ってくれました。高畑さんも長文のメールを下さり、『作品も美術もその後の工程も本当によく頑張った。さすがジブリと言える作品。ジジイ(宮崎監督)が去った後、押しも押されぬジブリのエースと認めることはやぶさかではないし、米林監督を祝福したい』と言っていました」と明かし、監督も「本当に嬉しい。ありがとうございます。これから自信を持ってPRしていきたい」と安堵の表情を浮かべた。

公開情報 東宝配給「思い出のマーニー」は2014年7月19日(土)から全国公開
公式サイト:http://marnie.jp/

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