三池崇史監督、柴咲コウの生霊を目撃!?「喰女−クイメ−」完成報告会見(2014.08.12)
ジャパニーズホラーの原点「四谷怪談」の世界を、鬼才・三池崇史が現代に置き換えて蘇らせたホラー「喰女−クイメ−」の完成報告会見が8月12日(火)に行われた。2010年に歌舞伎『東海道四谷怪談』で伊右衛門を演じて以来、映画化を熱望し、本作の企画から製作までを牽引し、主演も務めた市川海老蔵は「『東海道四谷怪談』は7代目市川團十郎が得意とした演目でした。先祖の時代に映画というものがあったら、同じように映画化をしていたと思います。その精神を受け継ぎたいという思いからこの企画は始まりました」と本作への意気込みを述べた。
舞台「真四谷怪談」で、お岩役を演じるスター女優・後藤美雪は、恋人である俳優の長谷川浩介を伊右衛門役に推挙する。お岩の怨みと恐ろしさをうつし出す【四谷怪談の世界】と、それを演じる男女の愛と欲が渦巻く【現実世界】のはざまで、舞台に集った俳優陣それぞれの思いが募り、もつれ合う男女の愛と狂気を浮き彫りにする。二つの世界で裏切りを知った“叶わぬ想い”は、現実と舞台をオーバーラップし、やがて一つの怨念となり膨れ上がっていく。
2011年にカンヌ国際映画祭コンペティション部門出品を果たした「一命」以来、市川と2度目のタッグとなる三池監督は「一番の見所は役者です。四谷怪談をモチーフとした作品でたくさんの役者が演じてきましたが、どの作品よりも本作の役者たちが光っていることは間違いないと思います」と出演者たちの演技に太鼓判。
米サイトが選ぶ“死ぬまでに見るべきホラー映画20本”に選出された三池監督の『オーディション』との怖さの違いについて、「『オーディション』はフェミニストとして描いた作品で、本作は女優さんの怖さ、人間の情念を表現しました。家族・夫婦・恋人同士で観て、映画が終わった後にお互いの目を見つめ合って本物の愛を確かめ合うのが、この映画のふさわしい使い方だと思います」と語った。
市川と初共演となる柴咲コウは「海老蔵さんと初めて会った撮影前の御祓いの時は、非常に真面目な方だなと思ったのですが、撮影中は控え室にノックせずに入ってくるので困りました」と市川の印象を述べ、「物心ついた時から知っている“お岩”という名の人物を、こうして時間をかけて演じる事ができて幸せでした」と役への思いを感慨深げに語った。
同じく初共演となる中西美帆は、市川とのラブシーンについて「初めてのラブシーンの相手がこんな素敵な男性でとても光栄で、緊張しましたが悔いのないよう一生懸命やらせていだだきました」と撮影時を振り返り、「いつもは現場でドンっと構えている海老蔵さんが、ラブシーンの時は妙にそわそわしていて、そんな意外な姿を見て安心して臨むことができたんですが、実は私を安心させるためのフリだったと聞いて、優しい方だなと思いました」と裏話を暴露。それに対し市川は「そんないい人じゃないですけどね」と照れながら答え、「歌舞伎の時は女形の男性ばかりで女性と接する機会がないので、照れながら、恥じらいながら、1コマ1コマ監督に撮って頂き、柴咲さんや中西さんに相手をして頂いた一時でございました」と女優陣に感謝した。
作品にちなみ幽霊の存在を信じるかという質問に三池監督は「何かを見たり霊感が強いタイプではないが、柴咲コウの生霊だけは撮影中に目撃しました。まだ撮影はあるのか!早く終われ!という思いはビシビシ感じていました」と語ると、柴咲は「本人自覚ないですけどね」と一言。そのやり取りに「あー、怖い!」と市川が思わず声を漏らし会場を沸かせた。
また、本作は9月4日から14日まで開催される第39回トロント国際映画祭にて、先駆的なアプローチや技術に挑戦し、映画自体の可能性を広げたアバンギャルドな作品がセレクションされるVANGUARD 部門で正式上映されることも発表された。
公開情報 | 東映配給「喰女−クイメ−」は2014年8月23日(土)全国公開 公式サイト:http://www.kuime.jp/ |
---|