女優陣の怖さ全開!宮沢りえ7年ぶりの主演映画「紙の月」完成報告会見(2014.08.22)
「八日目の蝉」をはじめ女性を中心に人気を誇る直木賞作家・角田光代の同名長編小説を映画化したヒューマンサスペンス「紙の月」の完成報告会見が8月21日(木)に行われ、主演の宮沢りえをはじめ、大島優子、小林聡美、吉田大八監督、原作者の角田光代が登壇した。宮沢は「映画主演は7年ぶりということに改めて驚いていますが、沸々と溜めていたものを出し切りました。やったことのない役で戸惑いもありましたが、吉田大八監督のリードによって梨花という役の輪郭がハッキリしていき、濃密な撮影になりました」と挨拶した。
原作は、第25回柴田錬三郎賞を受賞し、各メディアから絶賛されたベストセラー小説。バブル崩壊後の1994年、銀行の契約社員として働く平凡な主婦・梅澤梨花は、気配りや丁寧な仕事ぶりが上司や顧客からも評価されていた。しかし、自分への関心が薄い夫との間には空虚感が漂いはじめ、大学生の光太と出会ったことから、顧客の預金に手をつけてしまい、次第に巨額横領事件へと発展させていく。
宮沢は当初、役を引き受けることを躊躇していたようだが「吉田監督と仕事がしてみたい、見たことのない自分に出会いたいと思いました。本当に見たことがない自分の顔がそこにあって、衝撃的でした」と明かし、映画オリジナルのキャラクターとして、厳格に梨花を追い込んでいくベテラン事務員を演じた小林も「普段は親しみやすい役柄を演じることが多いのですが、今回は大お局といいますか、すごく仕事が出来る銀行員で、とっつき難い人を怖い感じで演じました。そうしたら想像以上に怖くなっちゃって、自分で見ても怖かったです(笑)」と両者とも意外な自分の姿を目の当たりにした様子。
小林と同じく映画ならではのキャラクターとして銀行の窓口係を演じた大島は「先輩方の演技を間近で見られて、その空気感や取り組み方、姿勢に感化されました。監督からの的確なコメントを宮沢さんも小林さんも、まず体の中に入れて、噛み砕いてから演じていて、勉強したことを素直に出していいんだと思えました」と感慨深げに語り、「オリジナルのキャラクターとしてキャスティングしていただけたことも嬉しく、梨花をどう左右していくのかをポイントとして見ていただけたら」と自身の役柄についてもアピールした。
「桐島、部活やめるってよ。」で日本アカデミー賞作品賞を受賞し注目を集める吉田監督は「原作を読んだ時、世の中に牙をむいて、挑戦していると感じました。映画化するには、こちらも挑戦する姿勢を見せないと失礼だと思い、新しい登場人物が自然と出てきて、その答えが出せました」と語り、女優陣3名のキャスティングについても「宮沢さんと小林さんは初共演というのが意外だったんですが、2人がいて大島さんまでいる。この感じはちょっと褒めて欲しい。このキャストが実現しただけで僕の仕事は終わったようなものです」と自己満足に浸った。
真っ当な人生を送っていたはずの主婦の感覚と日常が狂い出す本作だが、役柄に共感する部分はあったかと聞かれると宮沢は「あることがきっかけで何かが大きく動き出すことは、どんな人にも有り得ることで、梨花は狂気というタンクを満タンにしながら悪に手を染めていくのに、その手が真っ黒ではないのが不思議でした。到達点を脇目に見ながら、まだまだ進もうとする生命力というか貪欲さは、自分の中にもあるような気がします」と明かした。
そんな宮沢演じる梨花が暴走していく姿を見て、原作者の角田光代は「すごい迫力で怖かった!どんどん悪くなっていくのに反比例して、透明な美しさが出てきて素晴らしかったです。本当に怖かった!」と大絶賛し、宮沢も「正直、やったー!という気分です」と笑顔で喜んだ。
公開情報 | 松竹配給「紙の月」は2014年11月15日(土)全国公開 公式サイト:http://www.kaminotsuki.jp/ |
---|