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「家路」の久保田直監督が「新藤兼人賞」金賞受賞!「新藤兼人賞・SARVH賞2014」授賞式(2014.12.05)

日本映画製作者協会が授与する2014年度「新藤兼人賞」及び私的録画補償金管理協会が授与する「SARVH賞」の授賞式が12月5日(金)に行われ、「家路」の久保田直監督が「新藤兼人賞」金賞、「小川町セレナーデ」の原桂之介監督が「新藤兼人賞」銀賞を受賞。また、「海を感じる時」のプロデューサー成田尚哉氏と、PFFスカラシップのプロデューサー天野真弓氏が「SARVH賞」を受賞した。

今年で19回目を迎える「新藤兼人賞」は、独立プロダクション54社によって組織される日本映画製作者協会に所属するプロデューサーが「この監督と組んで仕事をしてみたい」、「今後この監督に映画を作らせてみたい」という観点から、その年最も優れた新人監督(長編処女作より3作品まで)に授与する賞。本年度は2013年12月から2014年11月までに公開された新人監督作品144本から2作品が選ばれた。

また、SARVH賞は優秀な作品の完成に大きな貢献をしたプロデューサー、企画者に「本当の意味で作品をプロデュースした」と認められる人物として顕彰しているが、私的録画補償金制度が裁判所の判断により事実上機能しない状況に至ったため、10回目となる本年度で終了することが明らかとなった。

授賞式開催にあたり、日本映画製作者協会代表理事の新藤次郎氏は「SARVH賞は今年で終了しますが、プロデューサーを顕彰する活動は、その職責を一般の方にも知っていただくために続けます。新藤兼人賞も協賛各社のご協力により、個人賞としては破格の賞金を差し上げることができており、今年からは日活とWOWOWの2社にも加わっていただくことができました。最終的に誇りに思う作品の監督に授与できること、また、SARVH賞も満場一致で選べたことを大変嬉しく思っています」と挨拶した。

震災後の福島を舞台に、家族の再生を描いた「家路」の久保田直監督は「30年ほどテレビのドキュメンタリーを作ってきました。ドキュメンタリーだからできる面白いこともあるのですが、ドキュメンタリーでは出来ない悔しい壁にぶち当たることもあり、劇映画として表現してみようと挑戦した作品でした。この賞をいただけたことで、必ず2作目も作ろうという強い意思につながりました。賞の名に恥じないよう、精進して作品を沢山作っていきたいと思います」と力強くコメントした。

また、母親が経営するスナックが借金で閉店することを知った娘が、偽おかまバーとして再起をかける姿を描いた「小川町セレナーデ」の原桂之介監督は「久保田監督の『家路』もそうですが、オリジナルの作品が映画の面白みの一つだと思っていたので、そういう2作品を選んでいただけたことに感謝します。川崎の町の皆さんの協力を得なければ出来なかった作品ですし、スタッフ、俳優が真剣に取り組んでくれたおかげ。12月12日までユーロスペースで上映しているので、観ていただけたら嬉しいです」と作品もしっかりPRした。

中沢けいが1978年に発表した「海を感じる時」の映画化を当時から実現させようと奔走してきた成田尚哉氏は「映像化の許諾が2年前にやっと下りましたが、苦労自慢して歩く映画になるだろうと思っていました。実際は脚本家、監督、皆さんの助けを得て作ることができ、とても謙虚な気持ちです。60を越えても学ぶことはまだあると感じました。一番ありがたいのは賞金で、借金も返せるのでありがとうございます」とユーモアを交えて挨拶した。

また、PFFスカラシップ作品のプロデューサーとして多くの新人監督を送り出してきた天野真弓氏は「20年前は自主制作の監督とプロのスタッフの壁がかなり厚く、自由に映画作りをしてきた監督たちは自分のやりたいことができないんじゃないかと懸念していました。そういう中、プロの技術やアイデアに支えられ、より世界が広がることを実感してもらえる現場作りを一生懸命やってきました。現在は学校で学ぶ人が多く、環境が変わってきましたが、スカラシップの役割を考え、これからも尽力していきます」と決意を新たにした。

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