樹木希林の自由な言動に大泉洋も大爆笑!「駆込み女と駆出し男」完成報告会見(2015.02.18)
井上ひさしが晩年11年をかけて紡いだ時代小説「東慶寺花だより」を原案に、「わが母の記」の原田眞人監督が初の時代劇に挑戦した「駆込み女と駆出し男」の完成報告会見が2月18日(水)に行われ、離縁調停人役の大泉洋、樹木希林、離縁を求めて東慶寺に駆込む女たちを演じた戸田恵梨香、満島ひかり、内山理名、そして原田監督が登壇した。主人公・中村信次郎を演じた大泉は「井上先生の原作も実にエネルギッシュなんですが、監督の脚本もエネルギーに満ちていて、その勢いを損なわないような撮影でした。時代劇でありながら、すごく新しい映画を観たなという感覚です」と挨拶した。
本作は、江戸時代の駆込み寺を舞台に、離縁調停人が男と女のもつれた愛の糸を解きほぐし、ワケあり女たちの人生再出発を手助けする、笑いと涙の人情エンタテインメント。原田監督は「『わが母の記』以来、また樹木さんに出てもらえる作品をずっと考えていて、演じてもらった源兵衛は原作では男ですが、おとら婆さんと一緒くたにして演じてもらいました。若いキャストたちも素晴らしく、子どもの頃から時代劇、戦争映画、西部劇で育ってきたので、やっと時代劇を撮れたという感じです。現場も楽しかったし、出来上がりも今までで一番いいものが出来たのではないかと思っています」と自負した。
夫の暴力に耐えかねて東慶寺に駆込むじょごを演じた戸田は「時代劇は初めてやらせていただきました。とても観やすく、笑えて涙もあって、若い世代にも楽しんでもらえる作品になりました」と語り、豪商・堀切屋の愛人お吟を演じた満島は「監督からはべらんめえ口調でしゃべってとか、婀娜っぽく演じてとか注文があったんですが、その時の感覚で進む、感性が素敵な監督さんだなと思いました。難しかったし、苦しかったし、楽しかったです」と笑顔。また、夫を殺された仇討ちを目論む戸賀崎ゆうを演じた内山は「女侍の役で、毎日、刀を片手に持って、長刀や弓、殺陣の稽古も贅沢に時間をかけてやらせていただきました。『時代劇はこうじゃなければ』というのがあったんですが、その思いを監督に崩していただきました」と明かした。
この日、会場には駆込み女たちの身柄を預かる「御用宿・柏屋」の暖簾が掲げられていたが、その文字を樹木が書いたということで、「経費削減で、あんた書いてよと言われてね。提灯やら何やら書かされて、割に合わないわ」とブツブツ。司会者からは大泉と樹木のやりとりが軽妙だったと評価されたが、「大泉さんとは印象的なものなんて何にもない」とし、大泉が慌てて「ありましたよ!」と突っ込むも、「むしろ(柏屋の)女将さんのキムラ緑子さんとかと凄いやりとりしてたじゃない!監督はどういう意図で大泉さんに決めたの?」と話題を変えてしまい、会場は大爆笑。
そんな樹木に大泉は現場でも振り回されていたようで、「役者としての存在の仕方が勉強になりました。樹木さんは『全てのことは私が決める』という感じで、帰る時間も自分で決める。次のシーンがあるのに『もう来ないわよ〜』と言って来ない」と口調を真似しながらチクリ。すると樹木は「体が弱いのよ。勘弁して」と返し、「橋爪功さんとバッタリ撮影所で会ったら、『あんた男の役をやるようになったんだね。僕らの役を取らないでね』みたいな目で見られて・・・」とまたしても違う話に摩り替えてしまうマイペースさを見せた。
また、「離婚は、幸せの始まり!?」という映画のキャッチフレーズについても樹木は持論を展開し、「結局、男と女は縁を結ぶ方が簡単で、切るのは難しい。ここにいる若い3人は子供がいないし、行動を起こせる年齢で、枷がない縁切りだったけど、すごく傷付いて、自分を犠牲にしてでも駆込む覚悟だった。それはこの時代独特のもの」と語り、樹木自身のことについて聞こうとするレポーターを遮り「個人的なことは言わないの!」とピシャリ。
最後に原田監督は「じょごの鉄練りのシーンは素晴らしかったし、あの粋な深川の芸者を満島がこの若さで出来るとは!と思ったし、信次郎のまばたきも素晴らしくて、本当はパチパチし過ぎてNGだったけど、どうしても使わざるをえなかった。そういう瞬間がみんなにありました。またこのメンバーで撮りたいと思っています」と大満足の様子。大泉も「江戸時代の女性の離婚は大変で、それを救済する東慶寺に女が駆込んで、2年間修行をしたら、男は離縁するしかないという、面白い時代だったなと。女性のパワフルさや強さ、現代にも通じる様々なエネルギーを感じる映画なので、多くの方に観ていただければ」とアピールした。
公開情報 | 松竹配給「駆込み女と駆出し男」は2015年5月16日(土)から全国公開 公式サイト:http://kakekomi-movie.jp/ |
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