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檻に閉じ込められたような人生ではなく、きちんとした人生を送りたい!!「奇跡のひと マリーとマルグリット」来日記者会見(2015.04.21)

19世紀末フランスに実在した三重苦の少女マリー・ウルタンと、彼女を教育した修道女マルグリットの実話を映画化した「奇跡のひと マリーとマルグリット」の来日会見が4月21日(火)に行われ、主演のアリアーナ・リヴォアールと、映像コンテンツのバリアフリー制作を行うパラブラ(株)の松田高加子氏が登壇した。自身も聴覚にハンディキャップを抱えるアリアーナは「私は、自分にとっての言語でありアイデンティティである手話でコミュニケーションをとっています。この映画を紹介するために頑張りたいと思います。」と手話で挨拶をした。

聴覚障がいを持つ少女たちの為の学院を併設する修道院に、生まれつき目も耳も不自由な少女マリーがやってくるが、教育を一切受けずに育った彼女は野生動物のように獰猛で誰にも心を開かない。不治の病を抱える修道女マルグリットは、残された人生をかけてマリーの教育係となり、困難の末ついにマリーが言葉を知る日がやってくる。強い絆で結ばれた2人であったが、別れの時間は目前に迫っていた。

本国フランスの全劇場で字幕付上映が行われたことについて、アリアーナは「それを実現するために、監督のジャン=ピエール・アメリスは非常に尽力されました。このような活動は、フランス映画史上ではパイオニア的存在です。ろう者の人でも、手話通訳を通しての撮影は可能であるということを実際に示してくれました」と監督への感謝と敬意を示した。また、本作で映画デビューを飾ったアリアーナは「私自身は女優になりたいという夢があったわけではないですが、小さい時にヘレン・ケラーの実話を基にした映画を観たことがあり、障害を持ちながら戦っている人たちにとても感銘を受けました。私の前にチャンスが訪れ、それを掴んだという感じです」と振り返り、「檻に閉じ込められたような人生ではなく、きちんとした人生を送りたいと思っていました。そして、監督がこの作品に参加するという素晴らしい機会を与えてくれました。勇気は必要でしたが、マリーのような三重苦の人でも乗り越えられるというメッセージを伝えられたと思います」と自信を見せた。

2014年度の報告書によると、聴覚障がい者に配慮した日本語字幕付作品は66本(11%)、視覚障がい者に配慮した音声ガイド付き作品はわずか6本(1%)であり、字幕がつく洋画は観るが、邦画は「諦めていた」という声が聞かれるのが現状。これについて松田氏は「障がいのある人にも安心して映画を楽しんでもらおうという動きは10数年前から徐々に増え始めましたが、まだまだ課題も多く、外国映画の音声ガイド付き上映が立ち遅れている状況です。全国で音声ガイド付き上映を行えば、一定数の視覚・聴覚障がいの方たちの集客を見込めます。これは、映画を楽しみたいと思っているのに、選択肢がないという理由で諦めている人が一定数いるということです。映画のバリアフリーの取り組みは、障がいがある人の為だけではなく、私たち全員が人間らしく生きるとはどういうことかを考えることに繋がります」とバリアフリー上映の現状と課題を説明した。

アリアーナ自身も「フランスではろう者の要求があまり叶えられていない気もします。もし字幕上映があったとしても、そのクオリティーが高くない場合もあります。映画というのは、みんなにとっての芸術です。そのみんなの中には、私たち障がい者も含まれています。人の持っている困難を尊重する気持ちがあれば、社会はもっと上手くいくと思うし、そこにきちんとお金をかけることが出来れば、全てが平等に機能するのでは、と思います」と自身の思いを語った。

また本作は4月21日より、『映画「奇跡のひと マリーとマルグリット」バリアフリー版を作ってみんなで映画を楽しもう!!』と題し、吹替え及び音声ガイダンスによるバリアフリー版を制作するためのクラウドファンディングを開始。バリアフリー上映の活動の輪を広げるため、洋画としては初めて、クラウドファンディングで制作費を一般公募するという試みを行い、下記URLより支援可能となっている。

◆プロジェクトタイトル:「映画『奇跡のひと マリーとマルグリット』バリアフリー版を作ってみんなで映画を楽しもう!!」
◆プロジェクトURL:http://kibi.co/kiseki-movie

公開情報 スターサンズ配給「奇跡のひと マリーとマルグリット」は6月6日からシネスイッチ銀座ほか全国公開
公式サイト:http://www.kiseki-movie.jp/

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