TBS×WOWOWの共同制作により2014年に話題を呼んだ連続ドラマの完結編｢劇場版 MOZU｣のワールドプレミアトークイベントが、現在開催中の第28回東京国際映画祭で10月27日（火）に行われ、主演の西島秀俊をはじめ、香川照之、真木よう子、池松壮亮、杉咲花らドラマ版からの続投組と、劇場版に悪役として登場するビートたけし、伊勢谷友介、松坂桃李、そして羽住英一郎監督が登壇した。この日のために用意された特別映像が上映されると、集まったファン300名の熱気で会場はヒートアップし、西島も｢こんなに沢山の方に温かく迎えられて感動しています｣と興奮気味に挨拶した。

ハードボイルド作家・逢坂剛の代表作であり、映像化不可能と言われてきた累計240万部を超える警察小説｢百舌シリーズ｣を実写化。妻子の死の謎を追う公安警察官の倉木は、一連の｢MOZU事件｣で警察内部に巣食う闇を白日のもとに晒したが、2つの大規模テロが同時発生し、日本犯罪史の重大事件を影で操ってきた“ダルマ”との死闘が幕を開ける。ドラマシリーズはギャラクシー賞をはじめ、東京ドラマアウォードを受賞しており、国際エミー賞にもノミネートされ、受賞すれば連続ドラマ部門で日本初の快挙となる。

西島は｢テレビドラマシリーズ、スピンオフ、劇場版ということで、集大成として完結するので、監督からも全力で振り切ってやってくれと言われ、とにかく決着をつけるつもりで演じました。ドラマでは妻の死の謎が解決して、初めて眠りにつくシーンで終わったんですが、『何処で目覚めるんだろうね』という話をしていました。劇場版では倉木が新たな謎にぶつかり、文字通り命がけの撮影をしてきたので、見応えのあるアクションを観ていただきたいです｣と熱くコメントし、実は肋骨にひびが入り、右目の角膜がはがれるほどボロボロの状態で撮影していたことを明かした。

主人公の最大の敵となる“ダルマ”を演じたビートたけしは｢福山雅治です｣と開口一番ギャグをかまし、｢ダルマはよくわからない役だね。ハゲヅラかぶらされて、顔もヤケドの特殊メイクだし、これは誰がやってもいいんじゃない？って言ったんだけど、監督から存在感があるからと言われてね。存在感なら北島三郎なんじゃないかと思いながら、西島君と監督に励まされて、ずっとベッドで寝ていました｣と謎のコメントを残した。

そんなたけしを起用した理由について監督は｢まだドラマを撮っていた時に、劇場版をやるとしたら、ダルマと倉木が対峙する話にしたいね！と西島さんと話していて、誰がダルマをやるか？と言えば、たけしさんしかいないだろうと夢物語のように会話していました。たけしさんに出てもらえないなら、ダルマは煙に巻いちゃおうかと思っていました｣とたけし有りきで映画化が進んだことを明かした。

また、フィリピンで1ヶ月に及ぶ大規模ロケを行ったということで、香川は｢見たことのないような風景や匂いが漂っていて、数々の人が食中毒にかかり、僕も初日からピーピーでした。これはまずいと、来る日も来る日も青と緑の“ラ王”ばかり食べていたので、吉田剛太郎の代わりにCMに出ようかと思いました（笑）｣と笑いをとった。

そんなフィリピンで渾身のアクションを披露している松坂は｢ホテルに戻ると、ベッドにバタッと気付いたら寝ているようなハードな日々でしたが、やったことのないようなことをやらせていただき楽しかったです。でも、もう1回と言われても絶対にイヤですね｣と、とにかく過酷だった様子。伊勢谷も｢僕も残念ながらフィリピンがメインでしたが、とにかく臭いんですよ。西島さんはそんな海に飛び込み、鱗が舞っているデッキで寝ていて、主演って大変だなと思いました｣と西島を労っていた。

ハードボイルドに徹した西島は｢複雑で混沌としていて謎に満ちたドラマシリーズを応援して下さった皆さんのおかげで劇場版が出来上がりました。劇場版は入門的な作品にもなっているので、ここからどっぷりと『MOZU』の世界に浸かっていっていただければ｣とアピールし、真木も｢日本映画じゃないようなスケールのアクションなので、この作品が魁となって、もっとこういう映画が増えていけばいいと思います｣と期待をのぞかせた。

今後は、11月2日（月）21時からスピンオフドラマ｢大杉探偵事務所 美しき標的編｣がTBSで初回放送され、11月15日（日）22時からはWOWOWで｢大杉探偵事務所 砕かれた過去編｣の初回放送が予定されている。イベントの最後は、“ダルマ”の不気味なバルーンをバックに、西島の『秋は、MOZU！』の掛け声と共にキャノン砲が打ち鳴らされ、盛大に幕を閉じた。