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映画を作っているというよりも人生の壮大な旅に出かけた感じだった「レヴェナント 蘇えりし者」来日記者会見(2016.03.23)

本年度アカデミー賞で監督賞、主演男優賞、撮影賞の3部門受賞のほか、数々の映画賞を受賞した「レヴェナント 蘇えりし者」主演のレオナルド・ディカプリオが来日し、3月23日(水)に記者会見を行った。ディカプリオは本作での過酷な撮影、悲願の初受賞、現在起きている環境問題などについて語った。

仲間の裏切りにより最愛の息子を奪われた、ヒュー・グラス(レオナルド・ディカプリオ)。瀕死の重症を負ったまま極寒の荒野に置き去りにされた彼は、激しい怒りを力に変え死の淵から蘇える。復讐の執念のみを武器に容赦ない極寒の地で300キロに及ぶサバイバルの旅が始まる。

休養宣言を撤回してまでこの作品に惚れ込んだディカプリオ。「脚本を読んでとても惹かれたのもあるが、天才的なイニャリトゥ監督との共同作業をずっと望んでいた。映画的な体験としてとても独創的で映画を作っているというよりも壮大な旅に出かけた感じだった。監督のスタイルや撮影方法はあまりにも独創的でこれは絶対に逃してはいけないと思った」と語り、自然光で全てを撮影するという画期的手法において「1日に8時間から9時間のリハーサルの中、撮影する時間は1時間半だけで、演劇の舞台に臨んでいるようなアドレナリンが出て、複雑なシーンを短い時間で撮影しなければなかった。その事がこの映画に貢献したし、過酷な状況だったからこそ、これほどの作品ができあがったと思う」と語った。

インセプションで共演して以来の友人、トム・ハーディとの再共演については「本当に過酷な状況の中での撮影だったので、楽しかったり、笑えるエピソードはあまりないけど、彼はあの年代では1番の俳優。男らしさや強さもあり、共感できる部分もある。再び共演できたことは光栄だった。また一緒に仕事をしたい」と語った。体を張った過酷な演技については「一番辛かったのは、極寒の中での撮影だった」とコメント。実際にサバイバル生活をしなければいけなくなったら何を3つ持ってくかと聞かれると、「電話と充電が切れないソーラーパネルと、火を起こせる物。というのはこの撮影は環境に順応しているとはいえ、本当に大変だった」と語った。

5度目のノミネートになる本作で悲願のアカデミー賞を受賞。どのような演技が主演男優賞につながったと思うか聞かれると、「オスカーを受賞できたことを分析するのは難しいけれど、この映画に参加できたのはとても特別なことだった。人々がこんなにも映画の世界観に入り込み、監督の様々な手法で撮ったこの作品は、映画史に残る芸術作品になると思う。もう2度とこのような映画に関われないかも知れないが、この作品は人生における重要な1章だった」と語り、オスカーを取ったことによる変化は「まだ取ったばかりだから生活の変化や、俳優としてどう変わるのかは未知の世界だけど、個人的には全く変わらないことを願いたい。受賞はありがたいけど受賞するために映画を作るのでなく、自分の夢や理想を追求して最高の作品を作りあげる気持ちは今も一緒だからね」とコメント。今オスカー像はどこにあるか聞かれると、「家のリビングに飾ってあるよ(笑)。友達が見せてほしいと家に来るし、そこにオスカー像があるのが嬉しい」と喜んだ。

また、環境保護にも長年取り組む中、アルゼンチンでの撮影中に極寒で撮影したかと思えば、次の日には急に暖かくなるなど気候変動を直に感じたことについて「人間と自然との関係を長きに亘って監督と話してきました。森林や動物の棲家、原住民が守ってきた土地に資本主義が入ってきて、アメリカの大自然が侵されていることはこの映画でたくさん描かれている。これはアメリカだけでなく世界中で起きており、敬意の欠如により荒らされた自然により、今まさに気候変動が問題になっていると思う。サバイバルを描く中、私達は地球がどうサバイバルしていくのかを考えなければいけない。今がターニングポイントで人間、人類が操ったために起きた問題に向き合わなければならない」と真剣な面持ちで語った。

公開情報 FOX配給「レヴェナント 蘇えりし者」は4月22日(金)からTOHOシネマズ日劇他全国で公開
公式サイト:http://www.foxmovies-jp.com/revenant/

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