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宮崎駿監督も「見事だ!」と太鼓判!「レッドタートル ある島の物語」完成披露会見(2016.09.01)

スタジオジブリ初の海外製作作品となる最新作「レッドタートル ある島の物語」の完成披露会見が9月1日(木)に行われ、来日したマイケル・デュドク・ドゥ・ヴィット監督とスタジオジブリの鈴木敏夫プロデューサーが登壇した。本作は、マイケル監督が2000年に発表した8分間の短編「Father and Daughter」(邦題「岸辺のふたり」)を観た鈴木プロデューサーが大変感銘を受けたということで、「長編を作ってもらったらどうなるだろう?」と制作を打診、構想10年、制作8年を経て完成したアニメーション。

嵐の中、荒れ狂う海に放り出された男が九死に一生を得て、ある無人島にたどり着く。男は島からの脱出を試みるが、見えない力によって何度も引き戻され、ある日、一人の女と出会う。マイケル監督が尊敬する高畑勲監督から助言を受けることを条件に製作を快諾した本作は、スタジオジブリとシナリオや絵コンテ作りから効果音、音楽に至るまで、打ち合わせを重ねて製作。本年度の「カンヌ国際映画祭」ある視点部門で特別賞を受賞した。

既にフランスや監督の出身地であるオランダなどでは公開されているということで、監督は「カンヌ映画祭では温かい反応をいただき、映画監督が少ないオランダでも好評価を受けています。アート作品なので商業映画的な興行とはいきませんが、各国で健闘していると聞いています」と明かし、スタジオジブリから打診が来た時の気持ちについて「私の人生の中の大きな衝撃となりました。すぐにでもやりたいと有頂天になってしまいましたが、いただいた手紙を読み違えているだけなのでは?と自問自答しました(笑)。あまりに嬉しくて、地上1メートルくらいを浮いているようでした」とまさに夢見心地だった様子。

本作の製作のきっかけとなった「岸辺のふたり」について鈴木プロデューサーは「大好きで100回以上観ている作品。人に見せたくなる作品だったし、西洋の人が作っているのに、東洋の考え方がわかっている感じがしました。だから長編を作ってもその精神は受け継がれると思ったし、日本人が観て納得のいく作品が出来ると思いました。30年来の付き合いがあるフランスのワイルドバンチ(製作兼配給会社)のヴァンサン・マラヴァルも感心して『一緒にやろう!』と言ってくれて、ヨーロッパ中の人々を集めて制作がスタートしたんです」と明かした。

どのように物語を作りあげたかについて監督は「自然に対する尊敬の気持ちを感じてもらえる作品にしたいと思い、美しい夕日や浜辺だけでなく、荒れ狂う海や死んでいく生き物など自然の摂理の中で、一人の男と一人の女が出会うシンプルなラブストーリーにしようと思いました。僕は漂流する男の物語が好きなのですが、ロビンソン・クルーソーのようにどうやって島を征服するかという話ではなく、島をどう受け入れ、自然の一部になっていくかを描きたかった」と述べ、鈴木プロデューサーは「ジブリのスタッフが『これはマイケルの一家の物語だね』と言い出して納得したんですよ。マイケルが奥さんにどういう態度で接しているかが全部わかる映画」と言って笑った。

本作を鑑賞した宮崎駿監督の様子について鈴木プロデューサーは「本当に10年間、粘り強く頑張りましたね。やり遂げて素晴らしい!とマイケルを労っていましたよ。世界のアニメは日本のアニメの影響を良い意味でも悪い意味でも受けているのに、一切、日本の影響を受けていなくて見事だ!と言っていたのは新鮮でしたね。それと彼自身がアニメーターなので羨ましかったのでしょうが、このスタッフが欲しい!と、引退しているのに言い出しました(笑)」と明かした。

現在のスタジオジブリについては「気が付けば30年くらい続いていて、今は手描きからCGへの変換期で対応していかないといけないんですが、宮崎も長編引退後はジブリ美術館のための短編を実験的に手描きで作ったり、CGも使ったりしています。『レッドタートル』のように企画に関わって、ヨーロッパで作るということもあるでしょうし、これからは流動的なんじゃないかと。実際に『創作はジブリでCGは請け負います』といった話をもらったりもしていて、どうしていくか考えないといけない」と思案していることを明かした。

数多くあるジブリ作品の中で好きな1本を尋ねられた監督は「どれも好きなので難しいですね。宮崎監督は子供が新しい発見をした時の驚きや喜びの表現方法が素晴らしくて、幼い頃に感じていた、忘れかけていた気持ちを思い起こさせてくれます。高畑監督は『となりの山田くん』で俳句という表現方法が難しい題材を映画化していて、大きなことが起こらない何でもないシーンでも惹きつけられてしまうところが素晴らしい」と称賛した。

公開情報 東宝配給「レッドタートル ある島の物語」は2016年9月17日から全国公開
公式サイト:http://red-turtle.jp/

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