「リップヴァンウィンクルの花嫁」など上映!第29回東京国際映画祭 Japan Now 部門「監督特集 岩井俊二」会見(2016.10.04)
10月25日から開幕する「第29回東京国際映画祭」の「Japan Now」部門で特集上映される岩井俊二監督が10月4日(火)に日本外国特派員協会で記者会見を行った。同部門のプログラミング・アドバイザーである安藤紘平氏は「岩井監督の『リップヴァンウィンクルの花嫁』を観た瞬間、日本人として誇らしく感じました。独特の美学で寓話的に今の若者の行動や思いを描く稀有な監督です」と紹介。岩井監督は「本当に呼んでいただき、ありがとうございます。光栄な機会ですし、5つの作品を上映してもらえるということで、嬉しく思っています」と挨拶した。
会見の冒頭、東京国際映画祭ディレクター・ジェネラルを務める椎名保氏は本年の映画祭で注目して欲しい点として、「一つ目はユース部門を新しく設けたことです。昨年、Japan Now部門を新設し、既にクラシック部門もあったので、この2部門が現代と過去とするならば、ユース部門は未来に繋がる部門と言えます。これからの映画界を担っていく若い世代に向けた部門です。二つ目に野外上映を六本木ヒルズアリーナで行います。無料です。10月16日には芝公園でプレ上映も行うので沢山の方に楽しんで観ていただきたい」と明かした。
「Japan Now」部門は、今の日本映画が持つ大きな可能性と意欲を、国内外に発信する部門。今年は大ヒット中の「君の名は。」(新海誠監督)、「シン・ゴジラ」(庵野秀明総監督)や、公開を控える「少女」(三島有紀子監督)、「湯を沸かすほどの熱い愛」(中野量太監督)、カンヌ国際映画祭ある視点部門で審査員賞を受賞した「淵に立つ」(深田晃司監督)などの話題作11本を上映。そして、「監督特集 岩井俊二」では、「打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?」、「Love Letter」、「スワロウテイル」、「ヴァンパイア」、「リップヴァンウィンクルの花嫁」を一挙上映する。
岩井監督作品はアジア各国で絶大な人気を集めており、最新作「リップヴァンウィンクルの花嫁」は日本に先駆けて香港と台湾で先行上映された。こうした評価について岩井監督は「こうなるとは全く思っていませんでした。映画を通じてアジア各国と交流させていただき、沢山の友人が出来ました。先日もキャンペーンで韓国に行った際に、ニュース番組に出演したのですが、日本人として初めて出た人だと言われて驚きました。架け橋的な立場に置かれていることが多く、荷は重いですが、そういう運命の下に生まれたのだと感じています。映画を見せることしか出来ませんが、自分なりに頑張ってやっていきたい」と明かした。
これまでも岩井監督は、アメリカで『ヴァンパイア』を製作し、中国作品のプロデュースなども手掛けているということだが、ロシアでの映画製作の可能性についてロシア人記者から聞かれると、「映画祭に審査員として呼ばれたことがあり、ロシア映画はクオリティも高く、ゴージャスで、ドストエフスキー的な大作が多い印象を受けました。長い物語が好きだとも聞き、僕の作品もどちらかというと長いので、黒澤明監督の『デルス・ウザーラ』に倣って、やれるものならやってみたいです。機会を下さい!」と乗り気の様子。
また、ヨーロッパでは『花とアリス殺人事件』が上映され、アニメ監督の印象を持たれているようだが、「今もアニメーションでミュージック・クリップを作っているんですが、実写とは違った、絵を描く楽しみがあり、すごいやりがいを感じているので、どちらも欲張ってやっていきたいと思っています」とアニメ製作にも意欲を見せた。最後に映画祭上映に向けて、「リラックスして映画ファンや批評家の方々と向き合える場だと思っています。劇場での公開はプレッシャーがあり、何も楽しめないので(笑)、ちょっとバケーションに近く、楽しみでしかないです」と語った。
なお、映画祭期間中は岩井監督の登壇だけでなく、Japan Now部門上映の各作品監督やスペシャルゲストなども招いてQ&Aが行われる予定となっている。
開催情報 | 2016年10月25日(火)〜11月3日(木・祝)、六本木ヒルズ、EXシアター六本木他都内の各劇場及び施設・ホール 公式サイト:http://www.tiff-jp.net |
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