ブラッド・ピットが主演・プロデュースを務めたNetflixオリジナル映画｢ウォー・マシーン：戦争は話術だ！｣の来日記者会見が5月22日（月）に行われ、ブラッド・ピットをはじめ、デヴィッド・ミショッド監督、プロデューサーであり製作会社プランBの代表でもあるデデ・ガードナー氏とジェレミー・クライナー氏が登壇した。ピットは｢フューリー｣以来2年6カ月ぶり11度目の来日となり、｢また日本に戻って来られて、とても誇りに思うこの作品を紹介できて嬉しく思っているよ｣と挨拶し、会見の途中でも｢あれ？質問は何だっけ？東京の夜に何を食べようかとか考えていたよ｣と終始リラックスした表情を見せた。

｢プランB｣は、本年度アカデミー賞作品賞に輝いた｢ムーンライト｣などを手掛ける製作会社であり、Netflixでもドラマ｢The OA｣をはじめ、今年のカンヌ国際映画祭コンペティション部門にNetflix史上初めて正式出品されたポン・ジュノ監督作｢オクジャ｣なども製作している。本作では、ブラッド・ピットがアフガニスタン駐留米軍の司令に任命されたゴリゴリの職業軍人を演じ、魑魅魍魎がうごめく現代の戦争の不条理と人間の滑稽さを、実話に基づき描き出した戦争エンターテインメントで、ティルダ・スウィントン、ベン・キングズレーらが共演している。

これまでも｢イングロリアス・バスターズ｣や｢フューリー｣で兵士を演じてきたピットだが、今回演じたグレン・マクマーン将軍は狂気と愛嬌が入り乱れるインパクト大の役柄だったようで、｢監督と笑いながら作りあげたキャラクターで、戦争の滑稽さや将軍の愚かさを見せたかった。独特な走り方も、監督が見せてくれた走り方を真似しただけなんだけど、短すぎるショートパンツは僕のアイデアだよ。男性の皆さん、新しいファッション・トレンドとして流行らせようじゃないですか｣と冗談めかし、監督も｢ブカブカのパンツを、思いっきり上げてはいてみてください｣とデモンストレーションして見せた。

そんなひょうきんな監督だが、｢ここからは真面目な話｣と前置きし、｢我々、アメリカとオーストラリアはアフガニスタンでの戦争に16年も関わっていて、それは恐ろしいこと。何故こんなにも長引いているのか？そして何故、懸命で有能な人たちが、まるで勝利が待ち構えているかのようなフリをしているのかがわからない。物語の中心にいる将軍も現実世界からはかけ離れてしまっており、頂点に昇りつめることだけを野望とし、そこにはただ、人間の妄想世界しかないと感じた｣とコメントした。

続いてピットも｢滑稽な物語から、だんだんシリアスな話になっていくが、戦争で戦っている若い兵士や民間人たちの命が奪われていることや、勝利とは何なのか？今までどおりの戦略でいいのか？そういった疑問を投げかけたいと思って、この映画を作った｣と語り、Netflixという配信での公開については｢正直言ってNetflixと組まなければこの作品は作れなかったと思う。配信が伸びているのは、リスクを負いながらも良いコンテンツを世に送り出しているからで、フィルムメイカーにもチャンスを与えているし、大胆な作品を作り出していると思うよ｣と称賛した。

プランBでピットと共に数々の映画を製作しているガードナー氏は｢とにかくオリジナリティのある物語を重視し、『この映画を作らなければ死んでしまう！』というくらいの映画を常に作ろうと思っている｣と語り、クライナー氏も本作の製作について｢残念ながら原作者のマイケル・ヘイスティングスは2013年に亡くなってしまったが、彼自身が感じていた戦争への疑問や、戦争を美化してはいけないということが伝わればいいと思って作り上げた｣と明かした。

そんなプロデューサーの2人についてピットは｢僕がプランBの“顔”のように紹介されることが多いけど、本当の仕事をしているのはこの2人だし、3人のうち1人でも欠けてしまったら成り立たないんだ。だからこの場で2人に感謝したい｣と信頼を寄せている様子。また、ミショッド監督についても｢原作の映画化権を手に入れた時は、どういう方向性で映画にすればいいかわからなかった。でも、デヴィッドに原作を渡したところ、複雑な問題を扱っているにもかかわらず、素晴らしい脚本に仕上げてくれたんだ。自分のビジョンをしっかりと持ったユニークな監督で、尊敬しているよ｣とコメントし、｢全世界でNetflixでの配信が始まるので、是非観てください！｣とアピールした。