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「未来少年コナン」の女の子バージョン!? Netflixオリジナル映画「オクジャ/okja」来日記者会見(2017.06.22)

第70回カンヌ国際映画祭コンペティション部門への正式出品で注目を集めたポン・ジュノ監督によるNetflixオリジナル映画「オクジャ/okja」の来日記者会見が6月22日(木)に行われた。2100人以上の候補者からヒロインに抜擢された13歳のアン・ソヒョンは「はじめまして。ミジャ役を演じたアン・ソヒョンです」と日本語で挨拶し、「2100分の1ではなくて、20分の1の間違いなんじゃないかと思うくらい自然に決まった感じがしています。公開されてからの方が、その実感がジワジワ来るのかも」と笑顔でコメントした。

本作は、「グエムル 漢江の怪物」「スノーピアサー」等のポン・ジュノ監督が、ブラッド・ピットの製作会社「プランB」とタッグを組んだグローバル・アドベンチャー映画。韓国の人里離れた山間で平和に暮らしていた少女ミジャが、親友として大切に世話してきた巨大動物“オクジャ”が多国籍企業に狙われたことから、次第に激しい争いに巻き込まれていく。ニューヨークに本社を置く多国籍企業のCEOにティルダ・スウィントン、動物学者のウィルコックス博士にジェイク・ギレンホール、動物保護団体のメンバーにポール・ダノ、リリー・コリンズら豪華出演陣が集結している。

ポン・ジュノ監督は「美しい少女と従順で大きな動物のラブストーリーを作りたいと思った」と明かし、ソヒョンを抜擢した理由については「映画『その怪物』で、ありがちな子役の演技ではなく、次元の違う印象的な演技を見せていて、イム・サンス監督の『ハウスメイド』にも出るなど経験も豊富だったので、常にリストのトップにいました。現場では『今日の夕飯は何だろう』など、たわいない会話をしているんですが、いざカメラが回ると、本能的にすごい集中力を発揮してくれました」と絶賛。

そんなプロ魂溢れるソヒョンは、撮影中のエピソードを聞かれると「渓谷でミジャが『魚を食べたい』と言って、オクジャが水に落ちて魚を気絶させるシーンがあるんですが、20回ぐらい水鉄砲を使って撮影したんです。あれならどんな魚も気絶するなと思うくらいの水しぶきでした」と振り返ると、監督が日本語で「ほんとスミマセン。監督は悪魔です」と謝罪。そんな監督にソヒョンは「こんなに俳優に配慮して下さる監督は他にいません。私の演技を見て必要と思って下さる監督がいれば、どんな作品でも出演したいですが、ポン・ジュノ監督のオファーは最優先したいと思います」と応えた。

先日のカンヌ映画祭ではフランスでの劇場公開が確約されていなかったことから、受賞の可能性を否定され、監督の母国である韓国でも、Netflixの劇場公開と同日配信というポリシーが興行システムを妨害すると見なされ論争を巻き起こしているが、これについて監督は「大きなスクリーンで、みんなで笑ったり泣いたりするのが映画を観るスタイルとして最も美しい形だとは思っています。ですがホームシアターの技術も進化し、ストリーミングで観るというのも一つの映画を観る形態です。60年代にテレビが登場した際にも『映画は終わった』と言う人たちがいましたが、未だに共存している。だからストリーミングと映画も共存していくのだと思っています」とコメント。

さらにNetflixで映画を作ることについて「マーティン・スコセッシ監督のような巨匠もロバート・デ・ニーロとアル・パチーノを起用して『The Irishman』を製作しています。それはスタジオから干渉されることなく100%創作の自由を与えられているからです。監督としてはクリエイティブな作品が作れる魅力と同じように、大きなスクリーンで作品を観て欲しいという渇望もあり、Netflixはどちらも柔軟に対応しています。韓国では100館以上での公開が決定し、アメリカやイギリスの数館でも公開されます。平行して映画祭での上映も続きますし、そういった点で多くの監督がNetflixに関心を持つのだと思います」と持論を述べた。

また、本作について宮崎駿監督の「未来少年コナン」の女の子バージョンと表現した監督は「ずっと走り続けていて、誰にも止められない部分がコナンの序盤と似ていると思っています。それと先日、オーストラリアでお会いしたジョージ・ミラー監督の『ベイブ』からも、ブタが都会へ行くという部分でインスピレーションを受けています。また、ニューヨークでのパレードのシーンは純朴な少女が資本主義の中心にいるということで、押井守監督の『イノセンス』から影響を受けています」と様々な作品のエッセンスが入っていることを明かした。

ソヒョンも日本の映画やアニメーションが大好きということで、宮崎駿監督の『ハウルの動く城』や『千と千尋の神隠し』などのタイトルを次々と挙げ、「海外の作品にもどんどん出てみたいと思っているので、日本でも撮影したいです。『君の名は。』の三葉のような役もやってみたいし、日本の歌も大好きなので、携帯電話には日本の曲ばかり入っています。アニメの声優にも興味があるし、歌には自信がないけど、とにかく演技をずっと続けていきたいです!」と目を輝かせた。

公開情報 Netflixオリジナル映画「オクジャ/okja」は6月29日(木)から全世界オンラインストリーミング開始
公式サイト:https://www.netflix.com/jp/title/80091936

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