特別招待作品に選出された原一男監督&園子温監督も登壇!「第18回東京フィルメックス」ラインナップ発表会見(2017.10.05)
11月18日から26日まで有楽町朝日ホール、TOHOシネマズ日劇で開催される「第18回東京フィルメックス」のラインナップ発表会見が10月5日(木)に行われ、特別招待作品「ニッポン国VS泉南石綿村」の監督であり、今年のコンペティション部門審査委員長を務める原一男監督と、「東京ヴァンパイアホテル 映画版」が上映される園子温監督も登壇。なお、オープニング作品はシルヴィア・チャン監督・主演最新作で釜山国際映画祭のクロージング作品にも選出されている「相愛相親」に決定し、クロージング作品は昨年7月に逝去したイランの巨匠アッバス・キアロスタミ監督の野心的遺作「24フレーム」に決定した。
はじめに林加奈子ディレクターは「今年もただならぬ映画ばかりが揃いました。本当に心にガツンと残る、奥深くて、素晴らしい、楽しい映画ばかりです」と、全部で25作品が上映されることを発表し、コンペティション部門の9作品をそれぞれ紹介した。今年は台湾1作品(「ジョニーは行方不明」)、中国3作品(「とんぼの眼」「シャーマンの村」「氷の下」)と中華系の映画に力強い作品が多かったということだが、日本からも五十嵐耕平監督&ダミアン・マニヴェル監督によるフランス合作映画「泳ぎすぎた夜」が選出されている。
審査員には、原一男監督をはじめ、園子温監督作品の企画・プロデュースなどを手がけ、俳優・監督のマネージメント事務所「鈍牛倶楽部」の代表でもある國實瑞惠氏、釜山国際映画祭や富川国際ファンタスティック映画祭のプログラマーを務める映画プロデューサーのエレン・キム氏、ベルリンにある映画とビデオアートの研究機関「アルセナール」の芸術監督であるミレーナ・グレゴール氏、数々の国際映画祭で審査員を務め、米ハリウッド・レポーター誌にも寄稿する映画評論家のクラレンス・ツィ氏が務める。なお、最優秀作品賞と審査員特別賞は、11月25日(土)に行われる授賞式で発表される。
特別招待作品の“フィルメックス・クラシック”では、本年の映画祭のポスターにも起用されているロバート・J・フラハティ監督が妻であるフランシス・H・フラハティと共同で監督したサイレント映画「モアナ」を上映。南太平洋サモアの生活を描き出しており、2人の娘であるミニカ・フラハティが製作から50年を経て、新たに島を再訪して音声を収録した“サウンド版”としてスクリーンに甦る。また、「侠女」「残酷ドラゴン 血斗竜門の宿」の4Kデジタル修復版が昨年のフィルメックスで上映され、今年劇場公開もされたキン・フー監督の「山中傳奇」がデジタル修復版で披露される。
そして、Amazonプライムの連続ドラマの特別編集版「東京ヴァンパイアホテル 映画版」が上映される園子温監督は「元々映画版を作ろうと思っていたのですが、ドラマを配信した影響で、いつ公開されるかわからない状況で、最初で最後ということもあり得る貴重な上映を是非ご覧いただきたい。ドラマ版とは全く違うラストになっていて、撮影の後半も映画用に撮影を行っていたので、その辺も是非観ていただければ。フィルメックスは映画祭らしい映画祭で、ここで上映できることは名誉であり、誇らしいと思っています」とコメント。
続いて、「全身小説家」以来23年ぶりのドキュメンタリーであり、「大阪・泉南アスベスト国賠償請求訴訟」を8年に亘り記録した「ニッポン国VS泉南石綿村」が上映される原一男監督は「今まで過激な主人公たちを選んで、過激な映画を撮ってきましたが、昭和が終わって過激な主人公を10年探しても見つからなかった(笑)。だから悩み深い普通の人たちを撮り始めましたが、面白くなるのかしら?という感じでした。でも登場人物の一人によるメッセージが最後に自分の願いどおりのメッセージと重なりました。普通の人を撮った極めて冒険的な映画だと思っています」と自ら紹介した。
この他、特集上映では、今年のロカルノ映画祭で大規模なレトロスペクティヴが開催されるジャック・ターナー監督の「私はゾンビと歩いた!」「夕暮れのとき」の2本が上映され、シンポジウムでは、現在のアジアにおける批評を検証し、2020年以降の映画批評の新たな形を探る「国際批評フォーラム『映画批評の現在、そして未来へ』」(講師:ジャン=ミッシェル・フロドン)が行われる。また、親子で映画が楽しめる企画や視覚障がい者向けに「グーグーだって猫である」「天然コケッコー」が日本語字幕付きで上映され、手話通訳付きのトークイベントも行われる。
なお、前売券がセブンチケット及びTOHOシネマズの「vit(R)」及び日劇チケットカウンターで11月3日(金・祝)から販売開始される。
開催情報 | 2017年11月18日(土)〜11月26日(日)まで有楽町朝日ホール、TOHOシネマズ日劇で開催 公式サイト:http://filmex.net/2017/ |
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