日中国交正常化45周年を記念し、｢映画を通じた日中交流事業｣に関する記者発表が10月26日（木）、東京国際映画祭開催中の六本木で行われた。国際交流基金（ジャパンファウンデーション）は、公益財団法人ユニジャパン（東京国際映画祭事務局）、上海国際影視節有限公司（上海国際映画祭事務局）と共同で、本年12月に中国3都市で日本映画上映会、来年3月に日本3都市で中国映画祭を行い、それぞれの国の映画を通じた交流事業を執り行う。

会見には、日本政府を代表して西村康稔 内閣官房副長官、萩生田光一 衆議院議員、中国政府を代表して薛剣 中華人民共和国駐日本国大使館公使参事官、日中共同製作映画｢空海―KU-KAI―｣から角川歴彦 (株)KADOKAWA取締役会長、原作者の夢枕獏氏、出演の松坂慶子、日中交流事業を執り行う安藤裕康 国際交流基金理事長、於侃 中国・上海国際影視節有限公司 映画部ジェネラルマネージャーアシスタントが登壇。

中国では12月1日から3日にかけて上海をはじめ3都市で、｢不能犯｣（2018年2月公開）を先駆けて上映する他、｢美しい星｣、｢南瓜とマヨネーズ」、｢心が叫びたがってるんだ。｣、｢光｣など2017年に日本で公開された新作を各会場計9本（全上映作品10本）上映し、いずれも中国の劇場初公開となる。一方、日本では来年3月8日から14日にかけて、東京、大阪、名古屋で中国映画の新作を中心に10作品を上映し、監督や俳優など中国人ゲストを招聘する。

西村内閣官房副長官は、日中間で交渉を進めてきた映画共同製作協定が9月に大筋合意に達したことを発表し、｢今後も共同製作映画の推進と日中映画交流事業も含め、3つの軸を中心に日中両国の官民レベルでの交流が活発化することを願っています｣と語った。また、薛剣中国駐日大使館公使参事官は｢映画は中国と日本との関係改善と発展のための大きなエネルギーになると感じています。魅力的な共同製作作品を作りあげ、両国の人々の心の故郷となるような映画を心から願っています｣と明かした。

さらに、来年日本で公開予定の｢戦狼／ウルフ・オブ・ウォーリアー｣、｢追捕 MANHUNT（原題）｣、｢空海―KU-KAI―｣の予告編も上映され、角川会長は｢昨年、この場で日中合作映画『空海』の製作発表をさせていただきましたが、来年には高倉健さん主演映画を中国でリメイクした『追捕』も公開されますし、中国市場で1000億円を超える興収を叩き出した驚きの映画『戦狼』も日本で公開予定と、日中協同映画製作協定の粘り強い交渉が実ったことを嬉しく思います｣と述べた。

開幕したばかりの東京国際映画祭のオープニングセレモニーでも、フッテージのスペシャル・スクリーニングが行われた｢空海―KU-KAI―｣に出演する松坂は、阿倍仲麻呂を慕って中国に渡った白玲を演じており、｢憧れのチェン・カイコー監督の作品に出演させていただき、夢のようでした。監督が歴史に残る映画を作りあげたいという真摯な思いを貫かれ、日中のキャスト、スタッフが一丸となって撮り上げました。愛と美に溢れ、皆さんを酔わせる素敵な作品になっていますので、公開を楽しみにしていて下さい｣と笑顔で語った。

なお、大規模な映画祭などを除いては、日本映画が上映されることが極めて少ない中国において、日本映画上映会は日本の魅力を伝える貴重な機会となる。本事業を通じて中国では日本映画ファンを増やすと共に、日本文化への関心を高めることを目指すと同時に、日本での中国映画及び中国文化への関心・理解を高めることも目指すとしている。