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ギレルモ・デル・トロ監督の映画への愛溢れる作品!「シェイプ・オブ・ウォーター」来日会見(2018.01.30)

3月4日(現地時間)に発表される「第90回アカデミー賞」で作品賞をはじめ最多13部門でノミネートされている「シェイプ・オブ・ウォーター」のギレルモ・デル・トロ監督が来日し、1月30日(火)来日記者会見を行った。日本の漫画や特撮映画などに造詣が深いデル・トロ監督は「日本は僕の太ったハートと近しい国なので、大好きな作品を携えて来日出来て嬉しい。この美しいおとぎ話は、今の困難な時代に相応しく、感情と愛について描いた作品なんだ」と挨拶した。

冷戦下のアメリカを舞台に、声を失くした孤独な女性イライザと、遠い海から連れて来られた水の中で生きる不思議な生物との言葉を越えた“愛”を描いたファンタジー・ロマンス。昨年の「ベネチア国際映画祭」では金獅子賞に輝き、先日発表された「ゴールデングローブ賞」でも監督賞と作曲賞を受賞した。ヒロインのイライザにサリー・ホーキンス、イライザを温かく支える同僚ゼルダにオクタヴィア・スペンサー、その他、リチャード・ジェンキンス、マイケル・シャノンらが共演し、「ヘルボーイ」や「パンズ・ラビリンス」などデル・トロ監督作品の常連でもあるダグ・ジョーンズが不思議な生物を演じている。

1962年を背景にファンタジーを描いた理由について監督は「自分とは違う“アザー”を恐れる今の時代に必要な愛を描くのに、現代を背景にしてしまうと耳を貸してくれないが、おとぎ話として語れば興味を持ってもらえると思った。“アメリカを再び偉大な国にしよう!”と大統領は言っているが、まさに大戦後の1962年は人々が将来に希望を抱き、宇宙開発の競争や車や家の購入など広告の中のような世界が広がっていた一方で、人種差別や性差別があり、冷戦も始まり、今と全く同じような時代だと感じたんだ。それに62年はテレビが出始めて、映画が衰退しつつあったので、映画への愛を込めて作ったよ」とコメント。

キャスティングについては「主人公は30代後半の女性で、バスの隣に座っているような人でありながら、マジカルで輝いた部分を持っている人にしようと思った。サリー・ホーキンスは『サブマリン』という映画を観た時に、脇役ながら目が離せなくて、相手の言葉を聞き、しっかりと見る姿勢が素晴らしいと感じた。彼女と初めて会った時に『口が利けない女性だけど、歌と踊りのシーンはあって、半漁人に恋をする役だよ』と言ったら、『グレイト!』と返してくれて、彼女しかいないと思った」と振り返った。

また、作品について「ラブソングのようなイメージで、シンフォニーを奏でているように作ろうと思った。車の中で素敵なラブソングがかかっていると、一気にフルボリュームにして歌い出したくなるような気持ちに近いと思う。それでいてクラシカルで、ハリウッドの黄金時代のような映画でありながら、クレイジーな映画でもある」と分析。アカデミー賞への最多ノミネートについては「『パンズ・ラビリンス』に続いて2度目のノミネートで、どちらの作品も自分らしさを表現できた作品なので、嬉しく思っているよ」と明かした。

そして「映画への愛を込めたとさっき言ったけど、メキシコでよく言う“日常シネマ”を意識した。気分がドン底の時、たまたま観た喜劇やメロドラマやミュージカルで気持ちが上がることがあるでしょ?そういう映画にこそ愛を感じるし、観客と繋がるエモーショナルな瞬間があると思うんだ。この映画のヒロインは、どれだけ半漁人を愛しているか表現したくても言葉が出ない。でも言葉は時に嘘をつくし、この映画でも台詞がある人たちは混乱している。言葉を発することが出来ない2人だからこそ繋がっていて、愛を伝える時はシンフォニーを奏でる時なんだ」と熱い想いを語った。

会場には『パシフィック・リム』でデル・トロ監督とタッグを組んだ女優の菊地凜子も花束を持って駆け付け、「本当に美しかったです。昨日観て、感動冷めやらぬ感じなんですが、究極のラブストーリーであり、本当に深い愛とは何かを描いていて、何度も観たい作品」と感想を述べ、『パシフィック・リム』の撮影時を振り返り、「監督は全てのクルーに説得力を持って指示できる人で、皆も監督の映画への愛に応えようとしている現場でした。私も当初は重いスーツを着て水に飛び込むはずではなかったんですが、監督に『飛んでくれ』と言われたら『出来ない』なんて言えなくて、やる気にさせてくれる監督です」と明かした。

監督も「凜子に出て欲しくて『パシフィック・リム』は作ったからね!」と返し、最後に一言という時になって、「このジャケットなんだけど、前のボタンが閉まらなくなっちゃって・・・。日本で美味しいお煎餅とかお菓子とか食べ過ぎちゃったよ。しゃぶしゃぶも食べたし。来た時は閉まったのになぁ」とぼやいて会場を笑わせ、「メキシコの兄弟を助けるつもりで、映画を観に来てください!」とアピールした。

公開情報 20世紀フォックス映画配給「シェイプ・オブ・ウォーター」は2018年3月1日(木)から全国公開
公式サイト:http://www.foxmovies-jp.com/shapeofwater/

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