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高良健吾が中島貞夫監督の“ある”呼びかけに胸キュン!?「多十郎殉愛記」制作発表会見(2018.08.21)

「木枯し紋次郎」「新・極道の妻たち」等で知られる“日本映画界の巨匠”中島貞夫監督が、84歳にして20年ぶりに手掛けた“ちゃんばら映画”「多十郎殉愛記」の制作発表会見が8月21日(火)に行われ、中島監督をはじめ、高良健吾、多部未華子、木村了が登壇した。主人公・多十郎を演じた高良は「時代劇の予習や殺陣の稽古をして撮影に臨みましたが、監督の言葉や立ち姿が全てを教えてくれました。肉体の限界を感じながら、何故刀を抜いたのか?斬ったのか?斬られたのか?といった部分をみんなでこだわり抜いて作りあげたので、時代劇が初めての方にも面白いと感じていただけると思います」と挨拶した。

長州を脱藩した清川多十郎はかつての尊皇攘夷の夢もどこへやら、京都で居酒屋「満つや」の用心棒をしていた。居酒屋を切り盛りするおとよは、同じ長屋の住人でもある多十郎に好意を寄せている。そこへ多十郎を慕う腹違いの弟・数馬が上洛し、幕末の志士たちも巻き込んだ死闘が始まる。本作は「殺陣の魅力を存分に見てもらうこと」をコンセプトに、時代劇映画における殺陣の魅力の根源を改めて探り、生身の人間が見せる極限のパフォーマンスや1本の刀に込めた“男の情念”“殉愛”を描いている。また、大阪芸術大学での中島監督の教え子であり、「私の男」「武曲 MUKOKU」等の熊切和嘉監督が監督補佐を務めた。

中島監督は「20年前に『極道の妻たち 決着(けじめ)』を撮って、これで劇映画にケジメを付けようと思ったが、京都の撮影所育ちとして、牧野省三監督が苦労しながら作りあげた“ちゃんばら”という一つのパフォーマンスが消えつつあるのは、何とかしなければならないと思った。『時代劇は死なず ちゃんばら美学考』というドキュメンタリーも作ったが、ドラマとして“ちゃんばら映画”を実現させたいと思い、高良ちゃんを中心に若者たちに頑張ってもらって、今日に辿り着くことができた。ここにいる3人は孫のような年齢だが、脚本を深く理解し、いい動きをしてくれた」と目を細めた。

多部は「監督は愛情を一人一人に与えて下さるので、自分たちも返さなければと、強い気持ちになるのは不思議な感覚でした。『一種の恋だよね』と高良君とよく話していました」と明かし、高良も「恋ですね。高良ちゃんと呼ばれるとキュンとします」と笑顔を見せた。木村も「最初は役名の数馬で呼ばれていたんですが、途中から木村ちゃんと呼ばれていることに気付き、その瞬間、監督との距離が縮まったようで嬉しかったです。最初はとても緊張して楽屋から出たくないくらいだったんですが、撮影が進むにつれて監督やスタッフさんたちのアットホームさに心を打たれ、ずっといたいと思える現場になりました」と語った。

そんな愛される中島監督の風貌も含めて司会者が「映画界のヨーダのような存在ですね」と語りかけると、高良は「そうなんです。殺陣をつけてくれる時、監督の杖が刀みたいになって、ライトセーバーに見えるんです!」と興奮気味に明かし、「殺陣は相手への思いやりや信頼が無いと出来ないもので、絶対に怪我させてはダメなんです。斬られるのはとても難しく、斬る側も斬られ役がいるからこそ引き立つ」とコメント。監督は「20人ほど3週間くらい特訓をしたが、コミュニケーションがどれだけ取れるかによって、アクションがリアルに見えるか決まる。高良ちゃんもどんどんコミュニケーションをとっていて、これでいけるな!と感じた」と満足気に明かした。

さらに監督は「時代劇が何故つまらなくなったかと言えば、俳優たちが年寄りばかりになってきたから。若さを発散しないと本当に面白い時代劇は出来ない。テレビで見る立ち廻りは、斬られ役が3人いれば済んでしまい、主役の足の位置も変わらない。斬るか、斬られるか、刀をむけられたら逃げる。高良ちゃんには『ふんどしを丸出しにしよう』と言った。立ち廻りで着物が乱れないままという時代もあったが、ふんどしが見えるくらいの激しさが欲しい」と熱い思いを語った。

そして「京都国際映画祭2018」(10月11日〜14日開催)でのワールドプレミア上映が決定していることから中村伊知哉実行委員長も来場し、「中島監督の新作を初上映できるという、こんなに光栄なことはないです。京都の精神的文化である時代劇を、皆さんに観ていただきたい」とアピール。最後に若手への時代劇の継承について監督は「熊切や大阪芸大の仲間が助けてくれたし、学んでくれたので、今回の映画作りがムダにはならないと確信している。『ちゃんばら映画の面白さが伝わって欲しい』というのが私の思いです。皆さんのお力をかりて、この作品をヒットさせ、多くの時代劇をこれからも作っていただければ」と力強く後輩たちへエールを送った。

公開情報 東映/よしもとクリエイティブ・エージェンシー配給「多十郎殉愛記」は2019年春公開予定
公式サイト:http://tajurou.official-movie.com/

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