「終わった人」モントリオール世界映画祭で最優秀男優賞受賞!主演の舘ひろしが喜びの会見(2018.09.04)
今年6月9日に公開された「終わった人」主演の舘ひろしが、北米最大規模の映画祭「第42回モントリオール世界映画祭」(8月23日〜9月3日開催)で最優秀男優賞を受賞し、喜びの受賞会見が9月4日(火)に東映本社で行われた。日本時間の4日朝に発表されたばかりということで、舘自身も驚きの様子で登壇し、「ありがとうございます。東映作品でデビューして、東映の作品で賞をいただけたというのは意味があるのかな。自分の芝居を信じていないし、43年俳優をやってきて賞が貰えるとは思ってもいなかったので、『本当なのかな?どうなってるんだ!?』というのが正直な気持ちです」と照れながら挨拶した。
本作は、「定年って生前葬だな・・・」という衝撃的な書き出しで始まる内館牧子によるベストセラー小説を映画化したハートフルコメディ。舘はこれまで演じてきたスタイリッシュでハードボイルドな役柄とは正反対の出世コースから外れたまま定年を迎える“情けない男”に挑戦した。同映画祭のワールド・コンペティション部門での最優秀男優賞受賞は、1999年の「鉄道員」で高倉健が受賞して以来の快挙となり、審査員からは「1960年代の『砂の女』を思い出した。舘さんが定年前から定年後の主人公の心情の変化を見事に表現し、人生にくたびれた人物から、モダンに変化していく様は素晴らしかった」と評された。
舘は「高倉さんは大スターなので、同じ賞をいただけて光栄です」と恐縮しきり。原作の内館牧子氏と中田秀夫監督からの祝福コメントも代読され、「芝居に自信が無いままやってきたので、内館先生の原作と中田監督の演出、そして一緒に演じてくれた黒木さんや他の俳優さんたちが僕を支えてくれたことに感謝しています」と顔をほころばせた。午前中に事務所スタッフから受賞の報せを電話で受けたそうだが、「病院に行く予定をすっぽかしてしまっていて、ついでのようにモントリオールで受賞したと聞いて(笑)、その時は病院のことが気がかりでした」と苦笑い。
また、渡哲也からも祝福の電話があったようで、「『それ以上、芝居は上手くなるな』と渡からいつも言われているので、男優賞を取って怒られるかな?と思ったんですが(笑)、『おめでとう』と言われ、嬉しかったです」と明かし、渡の教えの真意について「小芝居をするな!ということだと思います。石原裕次郎もそうですが、人生を丸ごと演じてしまえ!上手い芝居をする人はいっぱいいて叶わないから、自分の存在で演じていけということかと思います」と説明した。
終始、「芝居に自信がない」と謙遜しっぱなしの舘だったが、「野球に例えると、ボールが来て、バットを出したら、ホームランになったみたいな」と本音を吐露。会場が爆笑に包まれると、慌てて「作品も面白いんですよ!でも世界映画祭に出す!? 日本人の心の機微とかわかってもらえるのかな?と思ったんですが、モントリオールが大好きです! すごく楽しく演じさせてもらったので、その楽しさは観ている人にも伝わったのだろうと思います。ハードボイルドも好きですし、得意ですが、この歳なので走ってばかりもいられないのが実情です。オファーをいただけば、どんな役でも演じていきたいです!」と意気込んだ。
最後に東映の多田社長がお祝いの花束を持って駆け付け、「舘さんの受賞は東映にとっても名誉であり、嬉しい出来事です。9月8日からは丸の内TOEIで凱旋上映を行うことも決定しました」と発表。舘は「『終わった人』は『まだ終わらない』ということらしいです。少しずつ実感がわいてきました。お礼を言いたい人が沢山います。やっぱり渡が支えてくれていたので、感謝でいっぱいです。石原さんも受賞を聞いたら、喜んでくれるだろうなと思います。ありがとうございました」と締めくくった。
DVD情報 | 「終わった人」DVDは2018年12月15日(水)発売(価格4700円) 公式サイト:http://www.owattahito.jp/ |
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