第32回東京国際映画祭オープニング作品「男はつらいよ お帰り 寅さん」記者会見(2019.10.03)
本年の東京国際映画祭でオープニング作品として上映される「男はつらいよ お帰り 寅さん」の記者会見が日本外国特派員協会で10月3日(木)に行われ、山田洋次監督と共に東京国際映画祭の久松猛朗フェスティバル・ディレクター、「Japan Now」部門の安藤紘平プログラミング・アドバイザーが登壇した。山田監督は「自分でも驚きながら、一体どんな映画になるのだろうと期待しながら作りました。この映画を作るために50年もの歳月が必要だったんだなと、長生きしたからこういう映画ができたんだなと感じています」と明かした。
生誕50周年を迎える人気シリーズ「男はつらいよ」の最新作は、新撮された登場人物たちの“今”と4Kデジタル修復されたシリーズ映像が紡ぎ合わされ、寅さん(渥美清)の甥である満男(吉岡秀隆)と、満男の初恋の相手イズミ(後藤久美子)のその後の物語を軸に、さくら(倍賞千恵子)や博(前田吟)、そして「くるまや」を囲むいつもの面々の姿が描かれる。
山田監督は「渥美さんが亡くなって20年以上経ちますが、もしこの映画を観たら『俺、びっくりしたよ!』と言うでしょうね。寅さん以外の俳優さんたちはみんな年を取っているのだけれども、寅さんだけは不思議に年を取っていない。それは僕やファンにとっても寅さんは決して年を取らない人で、マリリン・モンローとかチャップリンなんかとも比較できるのではないかな」と明かした。
また、50作ものシリーズを手掛けてきた難しさについては、「観客は『また、あの寅さんが観たい!』と思って劇場に来るから期待を裏切ってはいけない。でも期待を裏切らなければいけない、というのが苦労したところです。一番苦労したのは48作目でしたね。渥美さんの体調が悪く、もうやめた方がいいのか?作り続けるべきか?渥美さんの体調に合わせて脚本も書かなければならなかったからね」と感慨深げに振り返った。
オープニング作品として上映される東京国際映画祭への期待を問われると、「東京国際映画祭は日本を代表する映画祭ですよね。世界には様々な映画祭がありますが、どこの映画祭にもない特徴や魅力を持つことがテーマだと思います。そういった努力をし続けて、ユニークな映画祭になることを、映画人の1人として心より願っています」と激励した。
現在88歳という山田監督だが、「次回作はどんな映画になるのか?」と問われると、「困ったな・・・。自分の年のことを考えると怖くて、映画どころじゃない」と笑いつつも、「アメリカではクリント・イーストウッドがまだ頑張っているから、僕も一緒に頑張ろうかな。ポルトガルではマノエル・ド・オリヴェイラ、日本では新藤兼人が100歳まで撮っていたし、希望を持ってもいいのかも」と意欲を見せ、会場は拍手で包まれた。
公開情報 | 松竹配給「男はつらいよ お帰り 寅さん」は2019年12月27日(金)から全国公開 公式サイト:https://www.cinemaclassics.jp/tora-san/movie50/ |
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