東映70周年記念作品として、激動の時代を生き抜いた織田信長と濃姫の30年の軌跡を描く｢THE LEGEND & BUTTERFLY｣の企画発表会見が6月21日（火）に行われ、織田信長役の木村拓哉、濃姫役の綾瀬はるか、脚本を手掛けた古沢良太、そして大友啓史監督が登壇した。木村は｢魅力的な歴史上の人物たちの中でも特に織田信長には惹かれる部分が多く、木村家の家紋と織田家の家紋が同じで親近感も感じていたので、こういった大作で演じさせていただけるのはすごく名誉ですし、全力で頑張りました｣と挨拶した。

政略結婚した信長と濃姫が、いかにして真の夫婦となり、共に天下統一へと向かって行ったのか？魔王と呼ばれながらも時に悩み苦しむ信長を“ひとりの人間”として描き、その側で支え続けた濃姫との知られざる物語を綴る感動超大作となる。会見冒頭、東映の手塚治社長は｢オールラッシュを観ましたが、正直いって素晴らしい作品になる予感しかなく、間違いなく映画の神に選ばれた作品だと自信を持って言えます。戦国武将の信長と正室の濃姫、別名は帰蝶と呼ばれる2人の愛の物語です。総製作費は20億円。稟議に判を押す時、手が震えましたが、東映の本気の作品でございます！どうぞお楽しみに！｣と力を込めた。

1998年にTBSスペシャルドラマ時代劇｢織田信長 天下を取ったバカ｣でも若き日の信長を演じ、49歳という本能寺の変で信長が生涯を終えた年齢で再び演じたことについて木村は｢監督もまじまじと僕を見て、まさしく同じ年齢の時に同じ状況を演じるんだね、とおっしゃって感慨深かったです。今日も440年前に本能寺の変が起きたとされる日で、そんな日に映画についてお伝えできるのはすごいタイミングですね｣と語り、大友監督も｢やっぱり（木村拓哉は）持っていますよ！まだ作っている真っ最中なんで、あまり言えないんですが、とにかく早く観ていただきたい！｣と手応えを感じている様子。

木村とはTBSのドラマ｢南極大陸｣以来約12年ぶりの共演となるヒロインの綾瀬は｢今まで観たことのない信長と濃姫の物語で、人間らしい部分やコミカルな部分、2人の生き様や夫婦として一つになっていく姿がとても素晴らしくて、心を持っていかれました。濃姫は男勝りで勇ましいのですが、夫婦になってからは女性らしい部分もあって、人を見る目も世の中を見る目も、かっこいい女性だと感じました｣語った。

来年にはNHK大河ドラマ｢どうする家康｣の脚本も務める古沢氏は｢3年くらい前に東映から木村さん主演で信長を撮るのが悲願だと聞き、どういう切り口がいいか考えました。歴史劇としても見応えがあるし、夫婦の愛の物語としても十分楽しめるものになったと思います｣とし、監督も｢初稿からめちゃくちゃ面白かった。監督になって30年近いですけど、『初稿で撮れるよ！』というのは初めてで、『今すぐ撮ろう！』と言った記憶があります。僕が創作できる余白も含めて一気に読めるエンターテインメントだったし、夫婦の物語としても深い所に辿りついていました｣と絶賛。

京都の太秦撮影所での日々について木村は｢贅沢な時間を大好きなスタッフの皆さんと過ごせて、胸を張ってあつらえて下さった甲冑やセットにも凄くモチベーションが上がりました。20分くらい移動するだけで重要文化財があって、その中での撮影も京都という特別な空間を感じられました｣と語り、綾瀬は｢早朝からものすごい数のエキストラさんが集まって下さって、一人一人にメイクも作り込んで、衣装もセットもその世界観にスッと引き込んでくれるものでした｣と振り返った。

また、古沢氏は撮影現場も見学したそうで、｢信長が乗り移ったかのような木村さんが凄まじくて、綾瀬さんも濃姫にしか見えなかったですね。監督も隅々まで丹念に作りあげて下さって、心地よい緊張感が漂っていました｣とし、更に｢僕はお金がかかりそうなシーンは忖度して書いていないんですが、スタッフからスペクタクルなシーンがどんどん写真で送られてきました｣と笑うと、監督は｢僕のせいにしようとしてるでしょ！｣と慌ててみせた。

木村は時代に逆行した信長について｢平和に見える世の中に疑問を抱いて、初めて声を高らかにあげ、行動を持って責任を果たした人だと解釈しています。側にいてくれた濃姫のお陰で決断できたこともあったと思う｣と語り、綾瀬についてはその身体能力の高さを評価しつつ、｢ぶつかりあうシーンも、慰めあうシーンも、見つめあうシーンも、一緒にはいないシーンでも、個人的には濃姫の存在が非常に大きくて、綾瀬さんで助かりました｣と明かした。綾瀬も｢何をやっても受けてもらえる安心感の中で演じさせていただきました｣と笑顔。

最後に木村は｢今を生きる僕たちの遺伝子に必ず繋がっている部分があると思うので、この作品から何かを感じ取っていただけたら。是非、受け取ってください｣と締めくくった。