構想30年をかけて北野武監督が挑む戦国時代劇「首」完成報告会見(2023.04.17)
“本能寺の変”を北野武監督が構想30年を費やして描く戦国スペクタクル「首」の完成報告会見が4月15日(土)に行われ、北野監督をはじめ、西島秀俊、加瀬亮、中村獅童、浅野忠信、大森南朋が登壇した。製作・配給を手掛けるKADOKAWAの夏野剛社長がはじめに挨拶し、「北野監督がご自身で原作、脚本も手掛けた思い入れのある作品でご一緒でき、嬉しく思っております。製作費15億円をかけた大作。今までの時代ものとは違う北野テイストが詰まった稀有な作品を、自信を持って世界にお届けしたい」と宣言した。
北野監督自らが“本能寺の変”を策略する羽柴秀吉を演じ、織田信長に複雑な感情を抱く明智光秀に西島秀俊、狂乱の天下人・信長に加瀬亮、秀吉を支える軍師・黒田官兵衛に浅野忠信、弟の羽柴秀長に大森南朋が扮し、北野組初参加となる中村獅童が秀吉に憧れる百姓・難波茂助を演じる。この他、木村祐一、遠藤憲一、桐谷健太、小林薫、岸部一徳ら豪華キャストが集結。5月に開催される「カンヌ国際映画祭」では、カンヌ・プレミア部門での上映も決定している。
北野監督は「(構想)30年?3週間の間違いじゃない?」と茶化しながらも、「NHKの大河ドラマは観るけど、綺麗な出世物語みたいで、人間の業や欲、裏切りが描かれていないから面白味がない。自分が描くならこうなる、という発想で作った。苦労はしたけど、素晴らしい役者さんとスタッフのお陰でどうにか作ることができました。ありがとう」とまず感謝。カンヌでの上映については「コンペで優勝したい気持ちもあったけど、コンペの枠に当てはまらない強烈な映画ということで上映してもらえるのは世界的にも当たるなと、一儲けできるのは嬉しい限り」と笑ってみせた。
「Dolls」以来役20年ぶりの北野作品となる西島は「自分が成長した姿を見せようなんて事は思わず、とにかく監督の頭の中にあるものを現実にしようと力を出し尽くしました。幸せな時間でした」と語り、「アウトレイジ ビヨンド」に続き3作目の出演となる加瀬は「前回も自分とは遠い役を演じて大変だったので、今回も難しいだろうなと思いながら参加したら案の定、大変な目に遭いました」と信長役に苦労した様子。それでも「残酷なシーンも数々出てきますが、何故か北野監督が描くと品が良く、他の監督と明らかに違う」と称賛。すると監督も「それは私と三池(崇史)監督の違い。私は教養があって家柄がいいので」と冗談めかした。
戦国時代を題材にしたことついては「侍や大名たちは一般の人たちが死んでも関係ないし、権力のために人を殺していく。そういう残酷さや、親方様のためなら命をかけられるってことは、つまりそういう関係で、死を前にした男同士の愛みたいなものを描けたらと思った。まぬけな歴史の教科書みたいなドラマが多い中で、正しくはないかもしれないけど、こういう見方も一つと思ってもらえたら」と明かした。
撮影中の印象に残っている事について西島は「撮影後半に監督がワンシーン追加したいということで、大きなセットを組んでワクワクしたんですが、一瞬のワンカットで終わって、スタッフも呆然としていました。本当に贅沢で、監督が欲しい画のために作る凄さみたいなのを感じました」と語り、監督は「大島渚さんも黒澤明さんも『大事なシーンほど引く』と言っていて、ここぞと寄って撮るのは下品ですと。それがクセになってしまっている」と巨匠たちの言葉を胸に映画作りをしていることを告白した。
そして最後に「自分では作品が良いのか悪いのかわからない。スタッフや関係者に聞くと、みんな褒める。それがお世辞かどうかはわかる。でも今回は大多数が本当に褒めてくれているのがわかって、成功したなと感じています。できれば大ヒットまではいかないにしても、多くの人に観てもらえて、あと何本か撮れたらいいな」とはにかんだ。
公開情報 | KADOKAWA配給「首」は2023年秋全国公開 公式サイト:https://movies.kadokawa.co.jp/kubi/ |
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