東宝が新たに手掛ける才能発掘プロジェクト｢GEMSTONE Creative Label｣初となる劇場公開作品として、4人の新進気鋭監督により創り出された短編オムニバス映画｢GEMNIBUS vol.1｣の製作発表会見が4月23日（火）に行われ、公式アンバサダーを務める上白石萌歌と共に上西琢也監督、平瀬遼太郎監督、ちな監督、本木真武太監督、そして各作品のプロデューサー陣が登壇した。上白石は｢新しい才能が芽吹く瞬間に立ち会えて光栄ですし、4人の監督の作品を発信する手助けになれたら｣と笑顔で挨拶した。

フォーマット、メディア、そして実績の有無を問わず、クリエイターが自由に才能を発揮できる場を提供する目的で、東宝の若手社員らが立ち上げた｢GEMSTONE Creative Label｣。はじめに、エンタテインメントユニット開発チームを担当する大田圭二常務執行役員は｢東宝は映画、演劇、アニメなど様々なエンタテインメントを届ける企業で、映画のリーディング・カンパニーではありますが、若い才能にチャンスを与える機会が余りありませんでした。4つの個性溢れる作品と才能、そして若いプロデューサーたちのパッションとエネルギーに注目していただけたら｣とアピールした。

ラインナップは、YouTubeで｢ゴジラVSガイガンレクス｣が1000万回超え、続く｢ゴジラVSメガロ｣が430万回と脅威の再生数を誇るCGクリエイターの上西琢也によるシネマティック・バージョンの｢ゴジラVSメガロ｣。全編スマホ内で完結する縦型ホラーという新領域で挑んだ｢娯楽｣が、｢TikTok TOHO Film Festival 2022｣でサードアイ賞を受賞した平瀬遼太郎監督によるサイコスリラー｢knot｣。｢平家物語｣｢薬屋のひとりごと｣などで絵コンテ・演出を務めるアニメ界の新鋭ちな監督が、活躍目覚ましいピアニストの角野隼斗とタッグを組んだ｢ファーストライン｣。｢第75回カンヌ国際映画祭｣＃TikTokShortFilmコンペティションでグランプリを受賞した縦型映画のパイオニアとも言える本木真武太監督のSF学園ゾンビ映画｢フレイル｣の4作品。

｢ゴジラVSメガロ｣の上西監督は｢YouTubeで公開されてはいますが、グレードアップさせているので、ぜひ劇場で観ていただけたら｣と語り、｢knot｣の平瀬監督は｢長年のテーマである"親子"の物語を描きました。私を含め4作品全てを受け取って欲しい｣とコメント。｢ファーストライン｣のちな監督は｢スタジオジブリの井上俊之さんから今回のチャンスをいただので、そのバトンをこれからアニメーターを目指す人たちに伝える意味でも、この作品を観てもらえたら｣とし、｢フレイル｣の本木監督は｢日本の若手監督で一番ハリウッドに近いと思っています｣と豪語し、｢世界中の人々に届くよう、セリフは少なく、画で語っているところを観て欲しい｣と力を込めた。

また、本木監督は｢撮影から監督、編集まで全て一人で出来てしまうんですが、今回は沢山の人と係わることができて、一人の限界を感じました。東宝のプロデューサー陣が知恵を貸してくれつつも、作品ファーストにして下さって、一人よりも皆で作ることが好きだと感じました｣と普段と違う手応えだった様子。第2弾についても企画中なのか質問された｢GEMSTONE Creative Label｣統括を務める栢木琢也氏は、｢続けることが重要だと思っています。覚悟を示すためにも今回はタイトルに『vol.1』と付けました。現在は企画開発中なので、実写は年内にも撮影できればと思っています｣と明かした。

アンバサダーを務める上白石は4作品それぞれの魅力や感想を細かく述べ、｢knot｣については｢深い人間ドラマを感じて見入ってしまいました。親と子の話ではありますが、改めて不思議な糸で繋がれているんだなと思ったし、ラストカットにはゾッとしました｣と語ると、平瀬監督も嬉しそうに｢あのラストカットを描くために作ったので、ゾッとしていただけて良かった｣と返した。最後に上白石は｢強烈な映像体験ができると思うので、映画館の良い音響と映像で観ていただけたら｣とアピール。なお、テーマソングとしてVaundyの｢常熱｣が、若きクリエイターによる新時代の作品に彩りを添えている。