日本版の「オッペンハイマー」にする!「尖閣 1945」映画化プロジェクト発表会見(2024.11.19)
敗戦直前に石垣市尖閣諸島に漂着した日本人を描いた門田隆将によるノンフィクション「尖閣 1945」(産経新聞出版)の映画化プロジェクトが始動し、その発表会見が11月18日(月)に行われた。会見には、中山義隆 石垣市長、五十嵐匠監督、原作者の門田隆将氏、菊池淳夫プロデューサー、配給を担当する彩プロの足立喜之氏が登壇。この日、正午からは製作資金調達のためのガバメントクラウドファンディング及び企業版ふるさと納税の受付も開始され、中山市長は「観る人の心を捉える映画を作るためにも資金が必要なので、出来るだけ多くの皆様のご協力をいただきたい。宜しくお願いします」と呼び掛けた。
太平洋戦争中、米軍の上陸を恐れた石垣島の人々は、2隻の船で台湾への疎開を開始。しかし、海上で米軍機に攻撃され、1隻のみ、かつて日本人が暮らしていた真水がある尖閣諸島に辿り着くが、上陸した人々は飢えと病に次々と倒れていくのだった。門田氏が「いかに尖閣が日本固有の領土であるか、そしてこの島には日本人の遺骨だけでなく、先人の魂がこもっていることを知って欲しい」と願いを込めて執筆した「尖閣 1945」に感銘を受けた中山市長が、「全世界から注視されている尖閣諸島を舞台としたノンフィクション作品を映画化することには、大変大きな意義がある」と映画化を相談し、企画がスタート。
中山市長は「魚釣島には、今も日本人の遺骨が多数埋まっています。生と死をめぐる感動のドラマが沢山存在します。その事実を多くの人に知って欲しい」とし、製作資金調達についても「ガバメントクラウドファンディングは、寄付金の使い方を具体的にプロジェクト化したふるさと納税の一種で、税金の控除もあります。今回は5万円以上の寄付をいただいた皆様の名前を、映画のエンドロールでご紹介させていただきます。また、企業版ふるさと納税は、国が認定した地方創世の取り組みに対して企業が寄付を行った場合、寄付額の最大90%の法人関係税が軽減される制度です」と説明した。
原作者の門田氏は「本日からクラウドファンディングが始まり、中山市長は控えめに3億円が目標と言っていますが、3億円では大作は作れない。8億円、10億円の資金が集まれば、この先、100年、200年と残される評価に値する映画になるのではと期待しています」と力を込めた。また、前作「島守の塔」で沖縄戦を描いた五十嵐監督は「『島守の塔』では戦争が人間に何をもたらしたかを描き、今回も政治的信条は全く無いんですが、驚いたのは、石垣市が中心となってこの映画を作るということ。地方発信の映画は沢山ありますが、地元で終わってしまう作品が多く、今回は製作費も含めて全国規模の映画になる可能性があるので、沢山の方に観ていただきたい気持ちがある」と明かした。
製作スケジュールについて菊池プロデューサーは「世界的な異常気象によって台風が頻発している状況がありますが、本作は来年の台風を避けた時期、通常ですと9月以降の少ない時期を予定しています」とコメント。また、門田氏の「死の淵を見た男 吉田昌郎と福島第一原発」を映画化した「Fukushima 50」のように劇映画になるのか質問された五十嵐監督は「そうです。原作がヒューマンストーリーなので、そこを中心とした感動作にしたい。キャスティングで難しいのは、飢餓でどんどん痩せていくので、順番に撮らなければならず、覚悟を持って映画に取り組んでいただける役者さんでなければならない」と語った。
また、中国も領有権を主張している尖閣諸島を題材にするということで、中国への配慮や中国からの圧力は考えられるか聞かれた門田氏は「きちんとしたドラマとして描かれるのは中国にとっては嫌なことかもしれませんが、どんな感動と奇跡があったかを知って欲しいし、戦後にその家族が歩んできた歴史もあります。今のところ横やりもないですし、これからも何もないと思いますよ!」と断言した。
配給を手掛ける足立氏も「門田先生の本を読ませていただき、史実に基づいた人間ドラマだと思いました。私も映画興行を42年間やってきましたが、シネコンではアニメやアイドル系の作品が多く、社会性の強い作品は覚悟が必要だと思いますが、こういった映画が残っていくと思うので、多くの皆さんに観ていただけるように配給していきたいと思っております」と語り、菊池プロデューサーも「戦争を真正面から描いた映画はほとんどありませんが、これは日本版の『オッペンハイマー』だと思っています。それくらいの気持ちで監督、スタッフと映画を作り上げていきます」と意気みを見せた。
公開情報 | 彩プロ配給「尖閣 1944」は2026年夏、石垣先行/全国公開 |
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