「役者人生の集大成」と語る吉沢亮に渡辺謙も太鼓判!「国宝」完成報告会(2025.04.24)
吉田修一の同名小説を李相日監督が映画化した「国宝」の完成報告会が4月23日(水)に行われ、主演の吉沢亮をはじめ、共演の横浜流星、高畑充希、寺島しのぶ、森七菜、見上愛、田中泯、渡辺謙、李相日監督が登壇した。吉沢は「確実に僕の役者人生の集大成というか、今までの全てをぶつけて歌舞伎役者を演じさせていただきました。歌舞伎がテーマで難しいと思われる方もいるかもしれませんが、エンターテインメントとして楽しめる作品です」とし、李監督は「この時代に生まれるべくして作られた、生命力の強い映画が出来ました」と自信を覗かせた。
原作は、吉田修一自身が本作の歌舞伎指導も務めた中村鴈治郎の元で3年に亘り歌舞伎の黒衣を纏い、楽屋に入った経験を書き上げた渾身の一作。任侠の一門に生まれながらも、歌舞伎役者の家に引き取られ、芸の道に人生を捧げる主人公・喜久雄の50年を描いた一代記となっている。また、主題歌は本作の音楽も手掛ける原摩利彦による「Luminance」に決定。King Gnu の井口理が歌唱で参加し、坂本美雨が作詞を担当しており、同曲を使用した最新の予告編も解禁された。
上方歌舞伎の名門・丹波屋の御曹司として生まれ、喜久雄の親友でありライバルである俊介を演じた横浜は「自分とは正反対の役で、どちらかというと苦手な人間だったので、まずは理解し、愛することから始めました。李監督は『流浪の月』の時もそうだったんですが、自分の中に眠らせているものを開放して下さり、挑戦させて下さるので、役者冥利に尽きます」と感謝。喜久雄の幼馴染・春江を演じた高畑は「いい意味で引きずる重厚な作品でした。2人を一番近くで見守り続ける役だったので、本当に血反吐を吐くくらい頑張っている2人の何か力になれないか、と思った記憶が甦りました」と振り返った。
先日、「第78回カンヌ国際映画祭」の監督週間への選出も発表され、李監督は「『カンヌ、国宝、歌舞伎』ゴロがいいな」と笑いながらも「日本の伝統文化のイメージを覆すような映画を海外の人々にも体験していただけたら」とし、吉沢は「映画に携わる人間として、憧れの舞台であるカンヌに呼んでいただけて嬉しい。流星と京都でお仕事を一緒にしている時に発表を聞いて、運命じみたものを感じました」とコメント。海外でも活躍する渡辺は、意外にもカンヌへの参加は初ということで、「世界から映画人が集まる場での上映は大きな意味がある。李監督の作品は作家性が強いので、海外にどう受け止められるか楽しみ」と明かした。
また、寺島は自身が歌舞伎の名門・音羽屋の娘として生まれた経験も踏まえ、「吉田さんの本を読んだ時は、夢のような物語だと感じました。やはり世襲なので。自分の子である俊介を差し置いて、喜久雄さんを選ぶ主人にムカついて仕方ありませんでした(笑)。今回私は役者というよりスタッフの一部のようで、セットを見て『ちょっと違うんじゃないか?』と思ったら李さんにお話ししたりしました」と裏方としても支えた様子。喜久雄を慕う彰子を演じた森は「演目シーンの前に吉沢さんが物を落とされて、すごく綺麗に女性らしく拾った瞬間を見て、『すごすぎる!』と思いました。その時、こういう瞬間を彰子として目にしていくんだろうなと感じました」と明かした。
花街の芸妓・藤駒を演じた見上も「撮影の2ヵ月前に日本舞踊の稽古を始め、1ヵ月前に三味線の練習を始めたんですが、横浜さんの日本舞踊のお稽古とすれ違った時、これは追いつかないなと思いました。狂気じみた覚悟がないと、ここまで到達できないなと。人生を見つめ直すぐらい心に響きました」と語り、人間国宝の歌舞伎役者・小野川万菊を演じた田中は「人間が開発した言葉に踊りがついて、歌舞伎舞踊という見事な文化を生みだしました。まさか自分が歌舞伎に関わる仕事をすることになるとは思いもせず、映画に出していただいたことが、新しい僕のスタートラインになりました」と感慨もひとしおの様子。
歌舞伎役者・花井半二郎を演じた渡辺は「演目の稽古もしましたが、それよりも喜久雄や俊介をどう見つめて鍛えていくのかが重要でした。試写を観て、『これ、吉沢の代表作になるね』と監督に言いました。この作品を背負う覚悟、執念を持ち続けていたし、俳優仲間として『凄いものを作ったな』と尊敬しました」と称賛。最後に吉沢は「スタッフ、キャスト、李監督、吉田先生、それぞれが背負っているものをぶつけ合った至極のエンターテインメント作品が出来上がりました。気負わずに沢山の方に楽しんでいただけたら幸いです」と締めくくった。
公開情報 | 東宝配給「国宝」は2025年6月6日全国公開 公式サイト:https://kokuhou-movie.com/ |
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